本日はシステムプロの成長性の分析を行いたいと思う。
まずは売上高及び営業利益の推移を見てみよう。
売上高についてはかなりの右肩あがりで成長していることがわかる。また、営業利益についても増益であることがわかる。
その成長性について、開示情報で見ていこう。
◆第21期→第22期
(モバイル・ネットワーク事業)
【外部環境】携帯電話業界全般としては新規加入者も飽和状態となりましたが、携帯電話は単に話すためだけの電話機から、今後は高速データ通信を使った新サービスと、各種周辺機器と携帯電話が融合したユビキタス端末機器として、社会インフラに欠かせない情報端末機器となりつつあると認識されている。
【ニーズに対する対応】
■無線LAN、近距離通信、赤外線通信、ICチップ、マルチメディア(動画再生、ストリーミング再生)、インターネットブラウザー、GPSといったユビキタス端末として無くてはならない各種周辺機器並びにソフトウェアエンジンに特化した技術支援、開発支援のサービス提供
(ネットワーク・ソリューション事業)
【外部環境】インターネットは完全に社会インフラの一部として組み込まれて来ております。このような状況の中、ITバブル崩壊以降控えられていたIT化投資は、ネットビジネスの普及とともに、新技術・新サービスを中心に積極的な投資が行われていると認識されている。
【ニーズに対する対応】
■企業向けポータルサイトの構築支援、コンテンツ配信サーバー構築支援、流通・物流・顧客管理等の基幹データベース構築検証支援。特に企業向けポータルサイトの構築支援、コンテンツ配信サーバー構築支援、流通・物流・顧客管理等の基幹データベース構築検証支援を提供
ニーズをくみ取り、高付加価値の受注活動に注力しているのがわかる。
前回の『【企業分析】システムプロ(3)』のCF分析において、第22期の公募増資による資金調達の使途のひとつとして、携帯電話の評価機器等設備資金約3億円があったかと思うが、第22期以降のモバイルネットワーク事業の業績を見ていると、モバイルネットワーク事業におけるニーズをくみ取った適切な投資であったのではないかと評価できる。
◆第22期→第23期
(モバイルネットワーク事業)
【外部環境】
①「番号ポータビリティ(継続)制度」といった制度変更
②海外メーカーの日本向け携帯電話開発の増加
【ニーズに対する対応】
■①に対して、マルチメディア(動画再生、ストリーミング再生、音楽再生)、インターネットブラウザーといった高機能分野におけるソフトウェアエンジンのポーティングやミドルウェアなどの周辺開発に特化した技術支援、開発支援のサービス提供
■②に対して、差別化を図れる新機能や新機種の開発に伴って品質検証業務のサービスの提供
(ネットワーク・ソリューション事業)
【外部環境】
①インターネットを利用した電子商取引を中心とする個人向けサービスのマーケットの拡大
②平成17年4月に施行された個人情報保護法に伴うネットワークセキュリティの強化やデータベースにおける個人情報保護の強化
【ニーズに対する対応】
■①に対して、ECサイトや情報サイト、広告・宣伝媒体としてのポータルサイトなどの新規開発や拡充の需要が増えております。
■②に対して、Webアプリケーション開発の主流となるデータベース技術に加え、オブジェクト指向技術やインターネット上でデータを扱う技術であるXMLなどの習得に力を入れるとともに、プロジェクト管理力を強化した上で外注を積極的に活用するなどの施策
外部環境の把握とニーズのくみとりが素早く、またそれに対して適切なサービスを提供できる技術力と体制を整備するマネジメント能力の高さがうかがえる。
◆第23期→第24期
(モバイルネットワーク事業)
【外部環境】
①モバイル・ネットワーク事業を取り巻く環境は、平成18年10月に始まりました「番号継続制度」や新規事業者への免許交付などにより大きな変化を見せております。移動体通信キャリアは番号継続制度の開始後の顧客獲得競争のため、電子決済やワンセグなどのより魅力的なサービスやユビキタス端末としての新機能の充実を進めており、携帯電話端末は本格的にユビキタス端末として高度化
②auが採用している携帯電話向けのソフトウェア実行環境であるBREWの開発ニーズの高まり。
③新機能や新機種の開発に伴い品質検証業務に対する旺盛な需要
【ニーズに対する対応】
■①について、音楽再生や地上デジタル放送対応の動画再生等のマルチメディア機能の拡充等、3.5世代向けソフトウェア開発を提供
■②について、豊富な携帯電話端末開発経験に基づく高い技術が評価され、BREWプラットフォーム関連の開発支援業務の提供
■③について、外注費用を削減するために立ち上げました連結子会社の株式会社ProVisionにおける品質評価専門部門によるサービスの提供
(ネットワーク・ソリューション事業)
【外部環境】
ブログの普及などインターネットを利用した様々なサービスが一般に浸透し、電子商取引を中心とする個人向けサービスのマーケットも引き続いて拡大。このマーケットをターゲットとした電子商取引サイトや情報サイト、広告・宣伝媒体としてのポータルサイトなどの新規開発や拡充の旺盛な需要を認識しているようだ。
【ニーズに対する対応】
■得意とするデータベース、Web関連の技術習得と資格取得を徹底
■大規模ポータルサイトの各種コンテンツ開発や業務系Webコンテンツ開発を提供
■連結子会社の株式会社フラグシップにおいてはSIP-IP関連開発事業のサービス提供
強みを活かした社内体制の整備及び子会社展開によるサービスのシフトがうまく機能しているようだ。
◆第24期→第25期
(モバイル・ネットワーク事業)
【外部環境】
①各移動体通信キャリアは、料金面やサービス内容はもちろん、新機能の追加や携帯電話の利用フィールド拡充を進めてきており、携帯電話はユビキタス端末としての高機能化が進化。
②当社が以前から力を入れてきたマルチメディア関連機能の一環であるGPS機能について、総務省が緊急通報位置情報通知機能の導入に当たり原則的に携帯電話にGPS搭載を義務づける方針を打ち出していることから、GPS機能の設計・開発に豊富な経験を持つ当社への需要の増加
【ニーズに対する対応】
■GPS機能の設計・開発サービス
■マルチメディア機能やフルブラウザ、3D表示関連などのハイスペックなソフトウェアを中心に開発サービスの提供
■新機能や新機種の開発に伴い品質検証業務の提供
(ネットワーク・ソリューション事業)
【外部環境】
①景気回復に伴う企業の情報化投資の活発化により、既存の業務システムの効率化や高速化、高付加価値化を目的としたWebシステムへの移行や移動体向けWebソリューション導入などの投資の増加。
②一般消費者向けのポータルサイトにおきましても、利用者の獲得や広告媒体の増加を目的とした新コンテンツの追加やリニューアルなど、当社が以前から強みにしてきたモバイルソリューションやWebシステム開発への旺盛な需要
【ニーズに対する対応】
■大手SI企業やエンドユーザーに対するコンサルティングからの一括受託開発業務のサービス提供
■先行投資として開発ツールのフレームワーク化の推進
■これらの施策により、大規模ポータルサイトの各種コンテンツ開発や業務系Webコンテンツ開発の提供
■柱の一つでもある品質検証業務のサービス提供
ニーズのくみとりとそれに対するリソースの配置を効率的に行っているのがわかる。またノウハウの蓄積の仕方、またそれに対する子会社を含む従業員の教育体制もしっかりしているのではないかとうかがえる。
外部環境の把握とそこからニーズをくみ取り、①強みを活かした営業による付加価値の高いビジネスの受注と②社内外を含めたリソースの適時の配置及びノウハウの伝授ができるしっかりした教育体制による生産性の効率の向上化がうまく機能していると思われる。
では、その強みは何か。
【強み】(1) 教育体制
1年前ほどにシステム会社を運営されている二人の経営者の方から話をうかがう機会があった。
二つのことを聞いた。
ひとつはSEの人材の不足
もうひとつは大手システム会社のSEの抱え込み
SEの人材不足は深刻で日本で賄いきれない人材を海外に広げて展開する動きやいままで即戦力を従業員として雇っていたシステム会社が、就職させた後にSEの技能を社内に身につけさせるようになってきていると。
数年前の話のため、今はどうなっているのか分からないが。
システムプロの強みの一つはノウハウの蓄積とそれを従業員に伝授できる教育体制にあろうか。
SE未経験者を初級エンジニア、中級エンジニアと即戦力に帰れる強みを感じる。
【強み】(2) 事業領域の特化
有価証券報告書の沿革をみていると当初は事業領域を絞らないプログラム業務を行っていたとうかがえる。
ただ、ここ5年ほどの業績をみると、移動体通信ソフトウエアの仕様、設計、開発、評価に特化することで、移動体通信の発達とともに右肩上がりで成長しているのがわかる。
移動体通信ソフトウェアという事業領域に特化できたことにより、それが強みになったことがうかがえる。
【強み】(3) リソースの配置という高度なマネジメント力
仕様設計の上流工程と品質管理という下流工程という付加価値の高い業務をノウハウの流出の少ない子会社含めた自社従業員でまかない、開発業務には価格統制可能な外注を使うという経理効率のよいリソースの配置により、高い収益性を挙げている。
社内外の人材確保とその適材適所への配置といった高度なマネジメント力がひとつの強みとなっていると考えられる。
以上、システムプロの企業分析を行ってきたが、主な情報としては有価証券報告書であり、主な手法としては会計的分析ツールである。今後は事業分析、業界分析を取り入れたいが、今回は時間の都合と私の能力の都合により、省略させていただくことにした。
いままで優良企業の成功の秘訣の本質に迫ろうと企業分析を行ってきた過程で共通してみえてきたものは、企業が強みをしっかり認識しており、その強みを活かした経営をしているということであろうか。
当然のことと言われればそれまでであるが、はたしてどれだけの企業が強みを適切に認識されており、その強みを活かした経営をされているのだろうかという疑問が頭をよぎるようになった。
分析させていただいた企業ではじめから強みを有してビジネスを展開していた企業はなかったと思う。
実行することとその可能性に対して、毎回フィードバックを行い修正していくなかで、自らの強みを獲得されてきた過程がしのばれるのであるが、どうだろうか。
今回の企業分析で7社分析したことになる。
ナ・トワではまだまだこの"勝手な"【企業分析】を地道に行っていくつもりです。情報発信を通じて、受け手にとってどういう意味付けがされるかと見極めたいし、また、"勝手な"企業分析を行っていく過程で、自分たちの強みとなる部分が見えてくるかどうかを見極めたいと思います。
今はただ地道に情報を発信していくだけですが、もし忌憚のない意見やアドバイスを頂けると幸いです。
今後ともご愛読くださいますようお願いします。











