本日はシステムプロの成長性の分析を行いたいと思う。

まずは売上高及び営業利益の推移を見てみよう。



売上高についてはかなりの右肩あがりで成長していることがわかる。また、営業利益についても増益であることがわかる。

その成長性について、開示情報で見ていこう。

◆第21期→第22期

(モバイル・ネットワーク事業)
【外部環境】携帯電話業界全般としては新規加入者も飽和状態となりましたが、携帯電話は単に話すためだけの電話機から、今後は高速データ通信を使った新サービスと、各種周辺機器と携帯電話が融合したユビキタス端末機器として、社会インフラに欠かせない情報端末機器となりつつあると認識されている。
【ニーズに対する対応】
■無線LAN、近距離通信、赤外線通信、ICチップ、マルチメディア(動画再生、ストリーミング再生)、インターネットブラウザー、GPSといったユビキタス端末として無くてはならない各種周辺機器並びにソフトウェアエンジンに特化した技術支援、開発支援のサービス提供

(ネットワーク・ソリューション事業)

【外部環境】インターネットは完全に社会インフラの一部として組み込まれて来ております。このような状況の中、ITバブル崩壊以降控えられていたIT化投資は、ネットビジネスの普及とともに、新技術・新サービスを中心に積極的な投資が行われていると認識されている。
【ニーズに対する対応】
■企業向けポータルサイトの構築支援、コンテンツ配信サーバー構築支援、流通・物流・顧客管理等の基幹データベース構築検証支援。特に企業向けポータルサイトの構築支援、コンテンツ配信サーバー構築支援、流通・物流・顧客管理等の基幹データベース構築検証支援を提供

ニーズをくみ取り、高付加価値の受注活動に注力しているのがわかる。

前回の『【企業分析】システムプロ(3)』のCF分析において、第22期の公募増資による資金調達の使途のひとつとして、携帯電話の評価機器等設備資金約3億円があったかと思うが、第22期以降のモバイルネットワーク事業の業績を見ていると、モバイルネットワーク事業におけるニーズをくみ取った適切な投資であったのではないかと評価できる。

◆第22期→第23期

(モバイルネットワーク事業)
【外部環境】
①「番号ポータビリティ(継続)制度」といった制度変更
②海外メーカーの日本向け携帯電話開発の増加
【ニーズに対する対応】
■①に対して、マルチメディア(動画再生、ストリーミング再生、音楽再生)、インターネットブラウザーといった高機能分野におけるソフトウェアエンジンのポーティングやミドルウェアなどの周辺開発に特化した技術支援、開発支援のサービス提供
■②に対して、差別化を図れる新機能や新機種の開発に伴って品質検証業務のサービスの提供

(ネットワーク・ソリューション事業)
【外部環境】
①インターネットを利用した電子商取引を中心とする個人向けサービスのマーケットの拡大
②平成17年4月に施行された個人情報保護法に伴うネットワークセキュリティの強化やデータベースにおける個人情報保護の強化
【ニーズに対する対応】
■①に対して、ECサイトや情報サイト、広告・宣伝媒体としてのポータルサイトなどの新規開発や拡充の需要が増えております。
■②に対して、Webアプリケーション開発の主流となるデータベース技術に加え、オブジェクト指向技術やインターネット上でデータを扱う技術であるXMLなどの習得に力を入れるとともに、プロジェクト管理力を強化した上で外注を積極的に活用するなどの施策

外部環境の把握とニーズのくみとりが素早く、またそれに対して適切なサービスを提供できる技術力と体制を整備するマネジメント能力の高さがうかがえる。

◆第23期→第24期

(モバイルネットワーク事業)
【外部環境】
①モバイル・ネットワーク事業を取り巻く環境は、平成18年10月に始まりました「番号継続制度」や新規事業者への免許交付などにより大きな変化を見せております。移動体通信キャリアは番号継続制度の開始後の顧客獲得競争のため、電子決済やワンセグなどのより魅力的なサービスやユビキタス端末としての新機能の充実を進めており、携帯電話端末は本格的にユビキタス端末として高度化
②auが採用している携帯電話向けのソフトウェア実行環境であるBREWの開発ニーズの高まり。
③新機能や新機種の開発に伴い品質検証業務に対する旺盛な需要
【ニーズに対する対応】
■①について、音楽再生や地上デジタル放送対応の動画再生等のマルチメディア機能の拡充等、3.5世代向けソフトウェア開発を提供
■②について、豊富な携帯電話端末開発経験に基づく高い技術が評価され、BREWプラットフォーム関連の開発支援業務の提供
■③について、外注費用を削減するために立ち上げました連結子会社の株式会社ProVisionにおける品質評価専門部門によるサービスの提供

(ネットワーク・ソリューション事業)
【外部環境】
ブログの普及などインターネットを利用した様々なサービスが一般に浸透し、電子商取引を中心とする個人向けサービスのマーケットも引き続いて拡大。このマーケットをターゲットとした電子商取引サイトや情報サイト、広告・宣伝媒体としてのポータルサイトなどの新規開発や拡充の旺盛な需要を認識しているようだ。
【ニーズに対する対応】
■得意とするデータベース、Web関連の技術習得と資格取得を徹底
■大規模ポータルサイトの各種コンテンツ開発や業務系Webコンテンツ開発を提供
■連結子会社の株式会社フラグシップにおいてはSIP-IP関連開発事業のサービス提供

強みを活かした社内体制の整備及び子会社展開によるサービスのシフトがうまく機能しているようだ。

◆第24期→第25期

(モバイル・ネットワーク事業)
【外部環境】
①各移動体通信キャリアは、料金面やサービス内容はもちろん、新機能の追加や携帯電話の利用フィールド拡充を進めてきており、携帯電話はユビキタス端末としての高機能化が進化。
②当社が以前から力を入れてきたマルチメディア関連機能の一環であるGPS機能について、総務省が緊急通報位置情報通知機能の導入に当たり原則的に携帯電話にGPS搭載を義務づける方針を打ち出していることから、GPS機能の設計・開発に豊富な経験を持つ当社への需要の増加
【ニーズに対する対応】
■GPS機能の設計・開発サービス
■マルチメディア機能やフルブラウザ、3D表示関連などのハイスペックなソフトウェアを中心に開発サービスの提供
■新機能や新機種の開発に伴い品質検証業務の提供

(ネットワーク・ソリューション事業)
【外部環境】
①景気回復に伴う企業の情報化投資の活発化により、既存の業務システムの効率化や高速化、高付加価値化を目的としたWebシステムへの移行や移動体向けWebソリューション導入などの投資の増加。
②一般消費者向けのポータルサイトにおきましても、利用者の獲得や広告媒体の増加を目的とした新コンテンツの追加やリニューアルなど、当社が以前から強みにしてきたモバイルソリューションやWebシステム開発への旺盛な需要
【ニーズに対する対応】
■大手SI企業やエンドユーザーに対するコンサルティングからの一括受託開発業務のサービス提供
■先行投資として開発ツールのフレームワーク化の推進
■これらの施策により、大規模ポータルサイトの各種コンテンツ開発や業務系Webコンテンツ開発の提供
■柱の一つでもある品質検証業務のサービス提供

ニーズのくみとりとそれに対するリソースの配置を効率的に行っているのがわかる。またノウハウの蓄積の仕方、またそれに対する子会社を含む従業員の教育体制もしっかりしているのではないかとうかがえる。

外部環境の把握とそこからニーズをくみ取り、①強みを活かした営業による付加価値の高いビジネスの受注と②社内外を含めたリソースの適時の配置及びノウハウの伝授ができるしっかりした教育体制による生産性の効率の向上化がうまく機能していると思われる。

では、その強みは何か。

【強み】(1) 教育体制

1年前ほどにシステム会社を運営されている二人の経営者の方から話をうかがう機会があった。

二つのことを聞いた。

ひとつはSEの人材の不足
もうひとつは大手システム会社のSEの抱え込み

SEの人材不足は深刻で日本で賄いきれない人材を海外に広げて展開する動きやいままで即戦力を従業員として雇っていたシステム会社が、就職させた後にSEの技能を社内に身につけさせるようになってきていると。

数年前の話のため、今はどうなっているのか分からないが。

システムプロの強みの一つはノウハウの蓄積とそれを従業員に伝授できる教育体制にあろうか。

SE未経験者を初級エンジニア、中級エンジニアと即戦力に帰れる強みを感じる。

【強み】(2) 事業領域の特化

有価証券報告書の沿革をみていると当初は事業領域を絞らないプログラム業務を行っていたとうかがえる。

ただ、ここ5年ほどの業績をみると、移動体通信ソフトウエアの仕様、設計、開発、評価に特化することで、移動体通信の発達とともに右肩上がりで成長しているのがわかる。

移動体通信ソフトウェアという事業領域に特化できたことにより、それが強みになったことがうかがえる。

【強み】(3) リソースの配置という高度なマネジメント力

仕様設計の上流工程と品質管理という下流工程という付加価値の高い業務をノウハウの流出の少ない子会社含めた自社従業員でまかない、開発業務には価格統制可能な外注を使うという経理効率のよいリソースの配置により、高い収益性を挙げている。

社内外の人材確保とその適材適所への配置といった高度なマネジメント力がひとつの強みとなっていると考えられる。

以上、システムプロの企業分析を行ってきたが、主な情報としては有価証券報告書であり、主な手法としては会計的分析ツールである。今後は事業分析、業界分析を取り入れたいが、今回は時間の都合と私の能力の都合により、省略させていただくことにした。

いままで優良企業の成功の秘訣の本質に迫ろうと企業分析を行ってきた過程で共通してみえてきたものは、企業が強みをしっかり認識しており、その強みを活かした経営をしているということであろうか。

当然のことと言われればそれまでであるが、はたしてどれだけの企業が強みを適切に認識されており、その強みを活かした経営をされているのだろうかという疑問が頭をよぎるようになった。

分析させていただいた企業ではじめから強みを有してビジネスを展開していた企業はなかったと思う。

実行することとその可能性に対して、毎回フィードバックを行い修正していくなかで、自らの強みを獲得されてきた過程がしのばれるのであるが、どうだろうか。

今回の企業分析で7社分析したことになる。

ナ・トワではまだまだこの"勝手な"【企業分析】を地道に行っていくつもりです。情報発信を通じて、受け手にとってどういう意味付けがされるかと見極めたいし、また、"勝手な"企業分析を行っていく過程で、自分たちの強みとなる部分が見えてくるかどうかを見極めたいと思います。

今はただ地道に情報を発信していくだけですが、もし忌憚のない意見やアドバイスを頂けると幸いです。

今後ともご愛読くださいますようお願いします。

本日はシステムプロの安全性の分析を試みよう。

1.貸借対照表(BS)に基づく指標

(1)流動比率と当座比率


システムプロの流動比率は直近年でみても一応の目安とされる200%を超えており、短期的な債務返済能力は高いと判断できる。第24期から第25期には急激に下降しているが、これは第25期に借入による19億円のキャッシュインがあったが、一方で投資有価証券の取得により33億円のキャッシュアウトを行っていることから、現預金の減少に伴い、流動比率及び当座比率ともに下降していると思われる。

このあたりは、キャッシュ・フローの分析時に見ることになる。

(2)負債比率と自己資本比率


負債比率は100%以下、自己資本比率は50%以上で推移しており、財務健全性は良好といえるだろう。直近年(第25期)を除く過去3期は、自己資本比率は80%以上、負債比率は20%前後と非常に高い財務健全性であったことがうかがえる。

第25期に自己資本比率が下降したのは流動比率及び当座比率でも少しふれたが、当期に19億円の借入を行ったことによろう。

この借入はシンジケートローンで行われており、資金使途は株式会社カテナの株式取得33億円に与えられたということだ。

株式の取得理由については、有価証券報告書の「経営上の重要な契約等」につぎのように記載されている。

当社は「携帯電話端末ソフトウェアの仕様策定、設計開発、品質評価」と「企業向けシステム、コンシューマー向けポータルサイト開発と品質管理」を主たる業務として事業展開を行っております。  一方、カテナ株式会社は「金融機関向けを中心とするシステム開発」「システムの運用・保守、ヘルプデスク」および「IT関連商品の販売」を主たる業務として事業展開を行っております。  両社は、ユビキタス社会の到来にあたり、「携帯・金融・ポータル」というキーワードをもとに、両社の事業が相互に補完関係を築けるものとの認識の下、両社の経営資源・ノウハウを相互活用することにより、両社の企業価値の極大化と事業基盤および経営基盤の拡充を図ることが可能になると考えて、資本・業務提携を行うことといたしました。

カテナに対する所有比率は29.9%で、第25期では持分法を適用している。

(3)固定比率と固定長期適合率


固定比率に関しては一応の目安とされる100%からはかなり低い水準となっているため、財務構造からみたシステムプロの安全性は高いと判断される。

直近年では急激に上昇しているが、過去はかなり低い水準で推移していることから余計際立つ。直近年の第25期の上昇はさきほど説明したカテナの株式取得が主な要因であろう。

2.CFの分析

次にCFを見てみよう。



CFはお金のながれが見える。

開示資料ではCFを営業活動によるキャッシュフロー(営業CF),投資活動によるキャッシュフロー(投資CF)、財務活動によるキャッシュフロー(財務CF)に区分して開示されている。

営業CFの推移をみると、年々営業活動によって獲得されるキャッシュが大きくなっていることがわかる。

直近年の営業CFは9億円であり、連結損益計算書の当期純利益が8億円ということから乱暴な言い方をすると、利益がそのままキャッシュインされているといえる。

次に第22期に財務CFが際立っているので、こちらを見てみよう。

有価証券報告書の連結キャッシュフロー計算書を見ると、株式発行による収入として23億円のキャッシュインがあったことがわかる。公募増資のようだ。

有価証券届出書を見ると引受先は4つの証券会社で資金使途として、携帯電話の評価機器等設備資金約3億円、短期借入金の返済約6億円、残額は運転資金充当とある。

携帯電話の評価機器等設備資金のキャッシュアウトは事業への投資として、それ以降の期の収益獲得に貢献した可能性がある。

次に直近年(第25期)の投資活動CFと財務活動CFが際立っているのがうかがえる。

これは先ほどから出てくる事項で説明がつくようだ。

投資活動CFについてはカテナ株式取得が主な要因のキャッシュアウトである。

財務活動CFについては長期借入によるキャッシュインが主な要因となろう。

CFはお金の流れから企業を判断する情報がある。

カテナ株式取得が今後の業績にどれだけのインパクトがあるかが成長性の一つの要因となろう。


明日は成長性の分析を試みたいと思う。

第二日目のシステムプロの企業分析を行おう。

昨日はROEの分解を通じてシステムプロの収益性の分析を行い、システムプロの売上高利益率の高さを知ることになった。

本日はその売上高利益率の分解を行い、営業管理の評価を行いたいと思う。

(1)百分率損益計算書

百分率損益計算書を時系列で見てみよう。



前回の『【企業分析】システムプロ(1)』にて、過去5年の業績の推移を見ていただいたが、増収増益であった。今回、百分率損益計算書の過去5ヶ年の推移を見ていただくと、各年度による売上高に対する割合が変化しているのが見える。

増収増益を続けているが、毎期変化していることがうかがえる。

ひとつづつ見ていこう。

(第21期→第22期)
■売上原価率は66.0%→63.2%と変化している。

有価証券報告書の【財政状態および経営成績の分析】を見ると、売上原価率の低下はコストダウンの徹底を推進した結果とある。

■売上高総利益率は34.0%→36.8%へと変化している。

これは上記売上原価の裏返しになるのだが、もう少し企業の戦略に紐つけて見てみよう。

売上高総利益率は①価格プレミアムと②生産プロセスの効率性の影響を受けるとされる。

今回システムプロにおいて売上高総利益率の改善はどちらの要因に影響されたのであろうか。

有価証券報告書の【業績等の概要】を見ると、次の通りと想定する。

(モバイル・ネットワーク事業)においては、「携帯電話の高機能化及びサービスの高付加価値化に伴い、より複雑化するソフトウェア製品の検証業務に注力すること、第三世代携帯電話に搭載されるマルチメディア機能にフォーカスした受注体制を取ること」と価格プレミアムが付けれた要因が考えられる。

(ネットワーク・ソリューション事業)においては、「データベースの安全性を検証する業務を中心とした利益率の高いシステム一括受注が大きく伸びた」という価格プレミアムの要因と「仕様の標準化、ソフトウェアのパッケージ化・標準化により生産性向上が図られ」という生産性の効率の向上の二つの要因が功を奏したと考えられる。


■販売費・一般管理費率は13.0%→14.9%と変化している。

有価証券報告書の【財政状態および経営成績の分析】を見ると、事業拡大による増加と将来を見据えた管理部門の強化による上昇のようです。

企業のとる戦略によって、数字に変化が生じるということがわかっていただけるかと思います。

監査では経営者の主張とアウトプットされた数字のつながりを検証することで適切さの判断をすることになるのですが、企業分析では将来的にその費用削減効果なり、費用支出の効果なりを判断する手立てとするのだと思います。

(第22期→第23期)
■売上原価率は63.2%から68.8%と大幅に上昇しているようだ。

有価証券報告書の【財政状態および経営成績の分析】を見ると売上原価についての言及は当期についてはなく、【業績等の概要】を見ると、「景気の回復や情報通信分野の投資に支えられ大きな需要増加が見込まれることなどから、採用の強化及び教育研修の強化に取り組み、技術者の確保と技術力の向上を図りました。また、大手新規顧客との取引拡大に伴う積極的なリソースの先行投入、大阪支社の拡充、子会社における先行投資、並びに業務提携先ソフトウェアベンダーとの協業体制強化などの先行投資を積極的に行った」と記載されています。

戦略として支出を増やしたことが読み取れます。ただ、会計的な話になるのですが、会計の原則のひとつに費用収益対応の原則があるため、先行投資したコストがすべて当期の費用に計上されるということはありません。一部は資産としてストックされ、翌期以降に費用計上されることになります。

今回の売上原価率の向上は固定費的要因が多かったのでしょうか。

(第23期→第24期)
売上原価率は若干微増し、一方販売費・一般管理費率は微減しているようですが、コメントは省略します。

(第24期→第25期)
■売上原価率は70.1%から65.1%と変化しています。
■売上総利益率は29.9%から34.9%と変化しています。

有価証券報告書の【財政状態および経営成績の分析】を見ると売上原価についての言及は当期についてはなく、【業績等の概要】を見ると、各事業について下記のような記載があります。

(モバイル・ネットワーク事業)
「携帯電話の高機能化や多品種化が一層進んできており、携帯電話がユビキタス情報端末として進化を遂げつつある中、ニーズの高いマルチメディア系機能や付加価値の高い仕様策定などの上流工程および品質検証などの下流工程を中心に業務を受注することでノウハウの蓄積と共有を図ったこと」とあります。

(ネットワーク・ソリューション事業)
準委任契約による技術サービス提供業務から請負契約による一括受託開発業務への移行を進め、開発業務における生産性向上に取り組んだことにより、前期に比べ、利益の大幅な増加とともに利益率の向上が図られました。特にモバイル・ネットワーク事業におきましては、連結子会社の株式会社ProVisionにおける品質検証部門との連携が順調に推移したことによる受注拡大効果や、旺盛な需要に対応するためリソースを優先的に配置したこともあり、前期を大幅に上回りました」とあります。

この記載から、売上総利益率は(モバイルネットワーク事業)については収益性の高い事業に整理できたことによる価格プレミアムが付けれたことと、(ネットワーク・ソリューション事業)については生産性の向上によるコストダウンが実現できたというコストダウン戦略が機能したと想定される。

■販売費・一般管理費率は13.6%から14.8%へ変化している。

この数字の変化を読み取る情報は有価証券報告書からは探せなかった。ただし、連結損益計算書の販売費及び一般管理費の費目が有価証券報告書の注記にあり、それを見ると、売上高に対する人件費の比重が高くなっているのがわかる。例えば売上高給与手当率を見ると、第24期は3.7%であったものが、第25期は5.3%と1.6ポイントアップしている。

有価証券報告書の【企業の概況】の「従業員の状況」をみると前年度と比較し、事業拡大により240名増員しているとある。
販売費及び一般管理費に計上されるであろう共通部門の人員は減少しており、一方モバイルネット事業の人員が165名増員していることから、販売費及び一般管理費の増加は当該事業の営業部門等の増員もあったのか、あるいは開発部門以外の増員があったと推定される。

以上百分率損益計算書の時系列を見てきた。過去5ヶ年増収増益であるが、各期の企業の戦略の違いが数字に反映されていたことが見えた。

(2)売上原価の構成要素の分析

つぎに売上原価の構成要素の分析を行いたいと思うが、有価証券報告書には連結ベースの売上原価の構成要素を把握資料がありません。このため、単体ベースの売上原価の製造原価明細書を使用することになるのですが、連結情報はグループ会社を含んでいるため、おのずと分析は限定的になります。

直近年の連結売上原価(2,877百万円)と単体売上原価(2,703百万円)の差異1億71千万円の差異が生じています。また、単体売上原価にはグループに対するコストが含まれている可能性もあるという意味でも、分析は限定的になることをご了承ください。

では、売上原価の構成要素の推移を見てみよう。


労務費の構成要素割合が低下する一方、外注費の構成要素割合が上昇している。この辺の要因はどういったものだろうか。

自社の開発に関しては付加価値の高い仕様設計等の上流工程と品質管理という下流工程を主に行い、コーディング等開発工程を外注に出すという整理であろうか。

この辺りの要因についてはIRへ問い合わせをしてみよう。

もしそうであるならば、(1)百分率損益計算書と(2)売上原価の構成要素分析をした結果については、営業面では付加価値の高い業務の受注を精力的に行い価格プレミアムをとるという戦略が行われ、生産面では加価値の高い上流工程と下流工程については自社開発部隊を当て、開発工程に関しては外注にだすことでコストダウンを図るというリソースの配置による生産性の効率の向上が機能していると想定される。

営業時間外に問い合わせをしてしまったが、システムプロの経営管理室の担当者の方に早速回答いただいた内容を記載しておきます。

過年度において外注を使えるほど経験が豊富でスキルの高い技術者は多く在籍しておりませんでしたが、年数(経験)を重ねると共に弊社グループ内で教育を施し、弊社グループの技術者育成にも注力したことで、より高度なマネジメントが出来るようになり、大きなプロジェクトの受注も可能になったことで、プロパー採用と共に外注を多く採用し収益の増加をはかったためであります。 また、プロパー採用に関して、新卒は年間全社員の1割程度を採用してきており、中途採用についてもスキルの高い人材を適時採用をしておりますが、売上高については年々3割程度増加をしておるため、この様な面からも外注が増加することがお分かりになられると思います。

結果、プロパーに対して外注人員が増加するため、外注を如何に効率的に配置するかを勘案すると、設計図の出来上がったものを作る工程、つまり中流(開発)工程に外注を配することになります。

すごくクリアになる回答であり、今回システムプロの成功の秘訣(強み)に迫る試みを行っているが、この回答にもその強みを推し量るヒントがあり、示唆に富む。

今回取り上げるのは株式会社システムプロである。

初見での素人の分析なので迷走すると思いますが、、素人なりの分析の過程を見てもらうことになる。

さて、まずはHPを拝見すると、新着情報(2008年9月4日)に「業績予想の修正に関するお知らせ」がアップされていた。

開いてみると、売上については下方、利益については上方への修正のようだ。

減収理由としては、外部環境を鑑みての選別受注を行ったことによるようだ。

一方増益理由としては、利益重視の経営方針から①情報システムサービス事業において業務の生産性の向上と不採算事業の撤退、②移動体高速データ通信システム事業において収益性の高いビジネスを積極受注したことによるそうだ。

業績予想の修正に関するお知らせでは二つの事業が出ており、HPのこの会社の事業概要に目を通す。

ボリュームが多く、難しいそうなので、有価証券報告書の事業内容を見ようと思う。

EDINETで検索し、19年10月期の有価証券報告書の事業内容を見ると、ソフトウェアの開発を主な事業としており、その事業区分として、(1)モバイル・ネットワーク事業と(2)ネットワーク・ソリューション事業があるようだ。

(1)モバイル・ネットワーク事業内容
移動体通信端末をはじめとしたファームウェア開発。携帯電話、ユビキタス情報機器など移動体通信端末におけるソフトウェア開発支援業務。

(2)ネットワーク・ソリューション事業内容
データベース、セキュリティ、ネットワーク技術を中核としたシステム及びアプリケーション開発並びにネットワークコンサルティング。大規模データベース連動型Webサイト構築の設計開発支援事業。

ITに弱い人間としてはイメージがわかないのがつらいが、とりあえず沿革を見てみよう。

昭和58年3月に設立とある。

設立後から上場までは、自社におけるサービスを拡張しているのがよくわかる。

平成14年8月に株式会社大阪証券取引所ナスダック・ジャパン(現ニッポン・ニュー・マーケット-「ヘラクレス」)市場に株式を上場とある。

上場後は子会社の設立や業務提携などを積極的に行っていることがうかがえる。

平成16年11月には東京証券取引所市場第二部へ株式上場し(平成17年5月「ヘラクレス」市場上場廃止)とある。

平成17年10月には東京証券取引所市場第一部へ株式指定替えとある。

その後現在までは業務提携や子会社の取得等の活動を行っているようだ。

沿革というのは会社を時系列に把握できる興味深い情報である。

では数字から業績を見てみよう。




先ほどの平成20年10月期の修正された業績予想も反映させていただき、業績の推移(過去5期+予想1期)を見たところ、かなりの右肩あがりの増収増益を達成している(あるいは達成しそうな)ことがうかがえる。

では経営指標となるROEとROAで見てみよう。



ROEは15%前後という高い水準で、ROAも10%以上の高い水準で推移していることから、資産効率のいい経営をしていることがうかがえる。

ではそのROEとROAを分解してみてみよう。

ROEの計算式は次のとおりである。

ROE=ROA×財務レバレッジ=(純利益÷総資産)×(総資産÷株主資本)

さらにROAを分解すると

ROE=売上高利益率×総資産回転率×財務レバレッジとなる。

(1)売上高利益率

では売上高利益率の推移を見てみよう。



売上高利益率は10%以上の高い水準で推移していることがわかる。進行年度(平成20年10月期)の予想売上高利益率は12.6%と冒頭の業績予想の修正のお知らせの理由でも書かせていただいたが、利益重視の経営方針がうかがえる。

(2)総資産回転率

つぎに総資産回転率の推移を見てみよう。



総資産回転率は1回前後の水準で安定的に推移していることがうかがえる。

本来、売上高利益率や総資産回転率も同業他社や業界比較することでより有意義な分析ができると思われるが、今回は実施していない。

(3)財務レバレッジ

財務レバレッジの推移を見てみよう。


財務レバレッジはプラスに作用しているが、1ポイント台であり、どちらかというと安定的な財務構造で事業を展開していると考えられる。直近年(平成19年10月期)では1.6ポイントに財務レバレッジが上昇しているが、これは18億円ほどの借入を行ったことによると思われる。

以上、システムプロの高い収益性は高い売上高利益率が大きな要因であると考えられる。

明日はこの高い売上高利益率の分析を行ってみようと思う。

今日は、同社の収益源であるASP事業のビジネスモデルについて少し考察してみたい。具体的には、顧客(ユーザー)から見たASPのメリットと、提供者にとってのASP事業の旨みの2つについて考えたい。

顧客(ユーザー)から見たASPのメリット

これは、イニシャルコストが安価である、運用に関わる煩わしさから開放される、常に最新機能を利用できる、といったメリットが考えられる。順に見ていこう。

まず、顧客にとって最も大きいメリットはコストだろう。システムを独自仕様で開発したり、パッケージを新たに購入したりすれば、導入時にかかるコスト(投資額)というのがとても大きくなる。この選択は、ある程度規模が大きくて財務的な余裕がある企業でなければ採ることができないだろう。それに対して、ASPの場合であればイニシャルコストをほとんどかけずに、定期的な利用料を払うことで大規模で高機能なシステムやソフトウェアを導入することができる。

2つ目のメリットは、顧客がシステム運用に関わる煩わしさから開放されることだ。情報システムを保有するということは、その保有期間に亘って、そのお守りをしなければいけないということでもある。ネットワークやサーバなどのインフラ周りのハードウェアを整備して、セキュリティだとかデータの冗長化だとか安全性に気を配らなくてはならない。さらには、当該システムの位置づけによっては365日24時間の監視なども必要になるかもしれない。ASPを利用するのであれば、顧客(ユーザー)が自分でこれらの煩雑な業務を行う必要は無くなる。プロバイダー側が全て一括して代行するからだ。しかも、ユーザーの状況によっては、少ない人員と限られた予算で運用を行うよりは、プロバイダーに任せてしまった方が安全性や信頼性が高まるというケースもあるだろう。

3つ目のメリットは、顧客(ユーザー)が常に最新機能を使うことができるという点だろう。これはサービスや契約の内容によって異なるかもしれないが、ASPであればプロバイダーが追加した新機能をユーザーが直ぐに使うことができるようになる。また、セキュリティやバグにかんするパッチなども、プロバイダ側で常に最新のものを充てることができるというのも長所だ。

提供者側から見たASPビジネスの旨み

これは大きく2つに分けられる。ひとつは、変動費が少ない事業構造ということであり、もうひとつは積上型の事業構造ということである。順に見ていこう。

まず変動費が少ないという点について。これはASPビジネスに限らず、パッケージソフトウェアの開発販売をやっている場合に該当する特徴だ。パッケージソフトウェアのマスタさえ完成してしまえば、販売量がいくら増えようが、その販売を1単位増やすために追加的に必要になるコストというのはほとんどタダみたいなものである。したがって、損益分岐点を越えるまでは大変かもしれないが、一旦それを超えてしまえば売上金額の増分のほとんどが利益になる。そして、売上が増えれば増えるほど、売上高利益率は上昇していく。

このように、パッケージソフトビジネスを手がける企業の場合は、変動費がほとんどかからないので、収益性は総じて高い。これは、SIビジネスとの対比で考えるとわかりやすいだろう。SIビジネスもパッケージソフトと一緒で、究極的には顧客が利用するソフトウェア(あるいはシステム)を提供することが目的である。ここでSIビジネスの場合は、案件ごとにコンサルタント、SE、PGなどを投入して顧客が要求した仕様に添う形で開発が行われる。したがって、案件ごとに毎回、投入した人間の人件費が全て変動費として負担になる。上流工程でよほどの付加価値を示さない限り、顧客への請求単価(多くの場合、人月単位)を上げることができず、なかなか利益を出しにくい。これに対して、パッケージソフトの場合は、基本的に全ての顧客に対して同じプロダクトを提供するので変動費がほとんどかからず、収益性が高くなる。

この変動費がかからないというのはASPに限らず、パッケージソフトビジネス全てに共通する特徴である。では、ASPならではの特徴は何かというと、それはASPが積上型のビジネスであるという点である。パッケージソフトの場合は、ライセンスを売ってしまえばそこで収益ポイントは終わりで、次回の売上が保証されているわけではない。すなわち、売れてしまえばその金額は比較的大きいが、その次に売れなければ売上金額はゼロという、ボラティリティの激しい(ASPに比べればだけど)ビジネスになる。それに対して、ASPの場合は1回1回の売上金額は僅かなものかもしれないけど、それが安定的にずっと続くことが期待できるという点が長所だ。顧客数が少ない間は、売上もたいしたことが無いかもしれないけど、それが増えてくれば段々と巨大な金額が安定的に売上計上されるようになる。しかも、同社のような外食チェーンを顧客としている場合は、既存顧客が成長して店舗が増えれば、その分、同社の売上も積み上がっていくというメリットがある。

以上、5回に亘って書いてきたジャストプランニング社の高収益性の秘密も、一旦、これで終わりにしたい。実は、同社がどのような工夫をすることによって、少数精鋭の体制を具現化できたのかというあたりが分からないままなのだが、残念ながら今のところそれに関する情報が手に入らないので、その部分に迫ることはできない。追加的に何か情報を入手できたら、追加の記事を書くかもしれない。

今回も記事を読んでいただきありがとうございます。ご意見やご感想がありましたら、コメントいただければ幸いです。次回の分析対象企業に関する記事も是非、お読みください。今後とも、どうぞよろしくお願い申し上げます。
今日は事業環境に関する分析を少ししてみたい。

まず、同社がターゲットとしている外食業界全体の市場規模は次のグラフの通りである。全体で30兆円にも達する超巨大産業であるが、典型的な衰退産業でもある。市場全体の成長はピークアウトしており、ここ数年は横ばいまたは減少傾向にある。したがって、同社が成長するためには市場全体と一緒に伸びていくということは期待しにくいので、限られたパイの中で如何にシェアを伸ばしていくかということが重要になってくる。


では、同社の市場における存在感はどんなものなのだろうか?次のグラフは、外食産業における従業員数規模別の企業数および店舗数の分布である。同社の顧客となるのは、チェーンオペレーションを行っている企業の中でも中規模のところである。あまりに小規模であれば、同社のASPを利用する必要が無いかもしれないし、必要でも導入するだけの体力が無いかもしれない。また、大規模な事業者であれば自社固有の仕様で専用のシステムを開発して使うだろう。具体的にどれくらいの規模の企業が想定顧客層か、正確にはわからないが、例えば、かなり広めにとって従業員数50人から2000人までの企業をターゲットとしたとすると、企業数は2,292社、店舗数は25,159店となる。同社の現在の契約顧客数は244社(4,050店舗)だから、同社のシェアは概ね10%から20%間くらいと想定される。想定顧客層をもう少し絞り込んだとすると、シェアは概ね30%未満くらいだろうか。この10%から30%くらいの数値を小さいと見るか、大きいと見るかは難しいところではあるが、まあ、まだ拡大の余地はあるだろう。事業運営次第では、外食産業の中でもまだまだシェアを伸ばしていくことは可能であるわけだ。

ちなみに、同社は外食産業向けの「まかせてネット」の次の柱として、理美容業界向けのASPを開発し拡販していくらしい。これが次の柱に育つのであればなかなか有望でないだろうか。


次に同社(以下、JP社)の競合環境についてみてみると、ユニバーサルソリューションシステムズ株式会社(以下、USS社)という会社が外食産業向けのASPサービスを手がけており、事業領域がかなり被っている。USS社の特徴は、資本的にも人的にもベンチャーリンク系であること、想定顧客層が大規模飲食チェーンであることである。例えば、USS社の売上の2割はレインズインターナショナルとのその関連会社であるコスト・イズに対するもので占められている。

したがって、一応独立系の企業であり、中小規模のチェーンを想定顧客としているJP社とUSS社とはもしかしたら直接は競合しないのかもしれないが、一応、2社の比較をしてみたい。次のグラフは、2社の売上高と利益率を比較したものである。JP社が順調に売上を伸ばしているのに対し、USS社は売上が減少傾向にある。また、前回までの記事で見てきたようにJP社の利益水準がかなり高いのに対し、USS社の利益水準はかなり薄い。というか、直近2年間はUSS社は大きな赤字を計上している。


この収益性の違いがどこから出てくるのかというと、おそらく1つは生産性の違いだろう。次のグラフは、2社の1人当たり売上高を比較したものである。JP社が僅かずつではあるが着実に生産性を改善しているのに対し、USS社は生産性を着実に悪化させてきている。おそらく、USS社はレインズなどのベンチャーリンク系の大口顧客を抱えることで効率のよい事業運営を行っていたものと推測される。それが、レインズの業績不振やMBO(正確にはレインズの親会社のレックスだけど)によるベンチャーリンクとの資本関係の断絶などにより、USS社の売上を低下させてきたのだろう。そして、それを補うための新規事業や新システムを立ち上げようとしたら人が増えて生産性が悪化してしまったのだろう。逆に言うと、もともと効率のあまり良くない中堅企業を狙ってビジネスをしていたにもかかわらず、高い生産性を実現していたJP社が優れているのだろう。

では、JP社のその優れた生産性を実現している要因はどこにあるのだろうか。企業理念や各種IR資料にて会社から発せられているメッセージを読むと、JP社が「少数精鋭」ということにこだわっている様子が垣間見れるのだが、では、具体的にどうやってそれを実現しているのか、という点は残念ながら不明である。


明日に少しだけ続きます。
今日は財務数値をBS, PL, CFの順に見ていく。

まず、BSの資産の部から。事業の半分がASPでもう半分がSIなのだから、資産はあまりいらないだろうなと推測できるのだが、予想通り事業用資産はほとんど無いようだ。総資産の半分以上が現金預金で占められている。また、余剰資金の一部は投資有価証券となっているようだ。


次にBSの負債の部を見てみる。やはり事業用負債がほとんど無くて、仕入債務は僅かな金額である。有利子負債も無いので、調達サイドのほとんどが自己資本によるものである。直近では純資産比率が94%にも達する。ちなみに、18年1月期に目立つ「その他固定負債」というのは繰延税金負債で、要するに余剰資金の運用に充てられている投資有価証券の含み益に対応する部分である。また、直近2年間で「資本金・資本準備金」という払込資本に当たる金額が減っているが、これはグラフ上で自己株式を払込資本から控除して表示しているためである。同社は、さすがに有り余る余剰資金を自己株式の取得という形で株主への還元に充てているようである。

ちなみに、株主への還元方法としては自己株式の取得という方法の他に、配当金の支払という方法もある。どちらが好ましいかというのは、企業のおかれた状況や株主個々の事情によって異なるだろう。個人的には、配当の場合には所得税が課税されることを考えると、自己株取得の方が望ましいのではないかと思う。ただ、投資家によってはキャピタルゲインではなくてインカムゲインが欲しいという事情の人もいるだろうから、一概にどちらがいいとは決まらない。


次に損益計算書の推移を見てみる。利益成長のペースが少し落ちてきているが、売上高が順調に推移していること、利益率がかなり高い水準にあることが読み取れる。営業利益や経常利益が約40%という高水準にある。


各段階の利益率の推移をグラフにしたのが下記だ。ペースは穏やかだが着実に、各利益率が上昇傾向にあることが読み取れる。また、各折れ線グラフの軌跡は基本的に相似形であり、売上高総利益率(粗利率)の改善が、その他の各段階利益率の改善に繋がっていることがわかる。同社の利益はほとんどASP事業によるものであるから、おそらくASPの収益性が増してきているのだろう。


次にCF計算書を見てみる。営業CFは、基本的に、毎期PLの純利益額を稼いだ分だけ営業CFも稼いでいる。売掛金や棚卸資産といった事業用資産があまりないので、利益がそのままCFに繋がっている。直近期である20年1月期で営業CFが急減しているが、これは法人税の支払い金額が急増していることが要因のひとつだ。その前の期である19年1月期に投資有価証券を売却して3億円超の売却益を計上していて、それに課税されているのだ。

投資CFについては、本業とはあまり関係がなくて、余剰資金で投資有価証券を購入したり、それを売却したりしている。

財務CFについては、基本的に営業CFが潤沢で設備投資が必要無い事業構造なので、資金調達の必要性もあまりない状況にある。JASDAQに上場した13年1月期と翌期に公募増資と第三者割当増資で資金調達をしていて、直近の19年1月期と20年1月期には自己株式の取得という形で有り余る資金を株主に還元している。


以上、財務諸表を眺めてみて改めてわかったことは、設備投資も事業用資産もほとんど使わずに利益とキャッシュを稼ぎまくる超高収益体質の事業構造だ。次回、この超高収益事業構造の秘密に少しだけ迫りたい。

続きます。
今日の記事ではいつものようにROEについての分析をする。今までも述べているように、この企業分析シリーズの分析対象企業は、過去安定的に高いROEを達成している企業を「優良企業」と定義している。また、過剰負債や過小資本により、いわゆるハイレバレッジな財務状況で高いROEを達成しているようなケースは「優良」とは言えないと判断している。

そして、この企業分析シリーズの目標は、その企業を優良企業たらしめている本質的な要因はいったい何であるのか?その核心に少しでも迫ることである。

さて、ROEのグラフから。下記のグラフを見てわかるように、ROEが年々向上していて、直近では約25%にも達している。ちなみに、青い線が個別財務諸表を、赤い線が連結財務諸表をベースに計算した数値である。個別と連結の差はほとんどない。


次に売上高利益率の推移を見てみる。これも右肩上がりで上昇を続けている。ROEが向上を続けている主な要因はここにあるのだろう。直近では売上高利益率は20%を超えるような水準にあり、税引後の利益率がこの水準にあるというのは素晴らしい。


次に総資産回転率を見てみる。概ね、1倍未満の水準で推移をしている。特に回転率が高いとは言えない状況だ。ちなみに、直近2年間で、この回転率が続けて改善しているがこれは次回の記事で少し触れるが自己株式の取得によるものである。


次に財務レバレッジの推移を見てみる。概ね1倍から1.4倍の間で推移していてレバレッジがほとんどかかっていない。直近では純資産比率が90%を超えるような水準にあり、これ以上さがりようがないところまでレバレッジが下がっている。


以上のように、総資産回転率と財務レバレッジはかなり低い水準で推移しているので、同社の高いROEはその売上高利益率の高さによって実現されていることがわかる。で、前回の記事に書いたように同社の利益のほとんどはASP事業によってもたらされていることがわかる。営業利益率65%というASP事業の高収益性がいったい何によってもたらされているのか、そのあたりが同社分析の鍵である。

次回に続きます。
今回採り上げる企業は、株式会社ジャストプランニング(JASDAQ 証券コード4287)です。

同社の事業は、ホームページの会社概要から引用すると次のとおりである。

外食業界におけるコンピュータシステムの開発及び販売。 店舗システム・本部システムに関するコンサルティングシステム導入及び運用支援。 上記業務に関する各種消耗品の販売。

有価証券報告書の「事業の内容」によれば次の3つである。

  • ASP事業
  • システムソリューション事業
  • 店舗支援ファンド事業
事業別の売上高の内訳を見てみると、ASP事業とシステムソリューション事業がちょうど半々くらいで、この2つで会社の売上のほとんどを占めていることがわかる。


次に事業別の営業利益を見てみると、一目瞭然、同社の利益のほとんど全てをASP事業で稼いでいることがわかる。


ところで、本論とは関係ないのだが上記のグラフが3年分の推移しかないことが気にならないだろうか。企業分析シリーズの分析対象企業を選定するに当たっては、上場から一定程度の年数が経過しており実績があり、経年データを分析できる企業を選んでいる。今回のジャストプランニング社がJASDAQに上場したのは2001年7月だから、目論見書まで遡れば少なくとも9年分くらいの経年比較ができる。

なのに何故3年分しか載せていないかというと、同社の連結財務諸表が公表されているのが直近3年のみだからだ。じゃあ、個別財務諸表を使って過去からの推移を分析すればいいのかというとそう言うわけにはいかない。個別財務諸表しか作成していない会社はセグメント情報を開示する必要がなかったり、連結情報を開示するようになるとそれまで開示していた個別ベースでの売上高の内訳とかキャッシュフロー計算書だとかが連結ベースでのみ開示されるようになり、個別ベースの情報が手に入らなくなるのだ。こういった事情で、日本の制度会計の下では分析の連続性を確保できないケースが出てくる。企業側の開示業務の効率化を意図しているのだろうが、財務諸表の読み手、すなわち利用者側が不便になっては意味がないと思うのだが。。まあ、愚痴です。

で、本題に戻るとこのASP事業とはなんだろうかというと、外食産業に特化した業務システムをASPで提供しているらしい。同社の主力製品は、まかせてネットという統合型店舗管理システムであり、その守備範囲は売上管理、仕入管理、勤怠管理の3分野にわたる。

もともと同社の現会長が94年3月に同社を設立したころは、POSシステムを外食産業向けに販売していたらしい。しかし、POSのような高価なシステムを導入できるのは、他店舗展開をしておりある程度の規模がある企業でしかできない。中小規模の外食チェーンにもPOSを活用した計数管理を導入し、業績を伸ばしてほしいという問題意識のもとで始まったのがASP事業ということらしい。同社のコンセプトは、中小規模外食チェーンのシステム部門の役割をアウトソースで請けるというものだ。

ちなみに現社長である鈴木氏は、もともとは同社(ジャストプランニング)の外注先の開発会社で、まかせてネットの開発に当たっていた人らしい。そんな鈴木氏を現会長が口説き落として合流したということのようだ。

なかなか興味深い企業で続きを調べたり書いたりするのが楽しみですが、今日はこの辺で終わります。

これまで、国際計測器の高いROEの秘密を探り、企業分析を行ってきた。

計5回にわたって、収益性の分析・生産性の分析・安全性の分析・成長性の分析を教科書通り行ってきたが、
本日はそれを総括すると次の通り。

【収益性の分析】

国際計測器の収益性の分析を通して見えてきたものは、第36期以降は売上高利益率が1桁台かた2桁台と上昇していることが高いROEの水準を維持している大きな要因であると提起した。

この高い売上利益率の水準は、品質に関する差別化による価格プレミアムを持たせる戦略と海外生産体制の構築によるコストダウン戦略の二つの戦略がうまく機能していること、すなわち【経営者のマネージメント力の高さ】によると思われる。

【生産性の分析】

生産性の分析を行った結果、労働分配率を引き下げてもなお効率的な生産活動を行っていることが、利益の担保となり、収益性の源泉となっていることがうかがえた。

すぐれた労働生産性は高収益率製品による高いプレミアムとコスト削減という二つの戦略や海外戦略がうまく機能していること、すなわち【経営者のマネージメント力の高さ】と高い生産性を担保している【従業員の技術力】によると思われる。

【安全性の分析】

安全性の分析を通して見えたのは、財務構造上は良好であるということである。

ここ数年のキャッシュの流れとみると、本社第三工場(研究)の取得と新規子会社の取得に投資していることがわかる。このことから、【高い製品開発力】と事業拡大にお金を使用しているというのがわかる。

【成長性の分析】

成長性の分析では、所在地別セグメントごとにその成長性を見た。国内と米国に対しては増収増益傾向にあるが、高い利益率を計上してきた韓国が急激な減収減益を被っていることがうかがえた。

中期3ヶ年計画にては増収増益を見込んでいるが、その成否は新製品と海外戦略に大きく依存していると思われる。

以上、総括してみると今後の成長性という点ではとりわけ外部環境が厳しくある点難しい局面にあると思われるが、バランスのよい経営という印象を受けた。

決算短信の中長期な会社の経営戦略にもあるように、5年後の目標は、売上高200億円、経常利益40億円以上 経常利益率20%以上、自己資本利益率20%以上の達成に向けた5つの施策を打ち立てている。

①人材・技術への投資による積極的な研究開発活動の実施 ②海外市場への積極的な進出による世界シェアの拡大 ③日本・韓国・米国・中国の各連結子会社工場における生産体制の確立(コストダウン戦略) ④戦略製品としてのタイヤユニフォーミティ/バランス複合試験機(UBマシン)の世界的な拡販体制の確立 ⑤来期以降の新製品の柱となる電気サーボ加振システムを採用した各種試験装置の研究開発及び拡販体制の確立

【従業員の教育】・【高い製品開発力】・【高い生産技術力】・【高い品質管理力】・【高い営業力】といったマネージメント力とその戦略力がバランスよくまた継続的に実行されてきたことが、高いROEの水準を維持してきた国際計測器の優良さを裏付けていると思われる。

時間的制約と個人的な力量不足により(おもに後者の要因が強いが)、国際計測器の【真の優良さ】から程遠い結果になったことは残念だが、機会があれば、再度トライしてみたい。


以上で、企業分析シリーズ第5弾、国際計測器のレポートは終了である。優良企業を優良企業たらしめている本質的な要因に迫ることは公開されている情報では不十分であり、実際企業の方にお会いしてお話をお聞きしたいと思うことも多々あった。ただ、毎回の決まり文句で恐縮だが、有価証券報告書等の公開情報を手がかりにしながら、企業経営の本質に少しでも迫ることは興味深く、今後もいろいろな企業を分析する中で、研鑽を続けて行きたい。

皆様の率直なご意見や感想、アドバイスなどいただけましたら幸いです。今後ともよろしくお願い申し上げます。

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