システムプロ(2)

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第二日目のシステムプロの企業分析を行おう。

昨日はROEの分解を通じてシステムプロの収益性の分析を行い、システムプロの売上高利益率の高さを知ることになった。

本日はその売上高利益率の分解を行い、営業管理の評価を行いたいと思う。

(1)百分率損益計算書

百分率損益計算書を時系列で見てみよう。



前回の『【企業分析】システムプロ(1)』にて、過去5年の業績の推移を見ていただいたが、増収増益であった。今回、百分率損益計算書の過去5ヶ年の推移を見ていただくと、各年度による売上高に対する割合が変化しているのが見える。

増収増益を続けているが、毎期変化していることがうかがえる。

ひとつづつ見ていこう。

(第21期→第22期)
■売上原価率は66.0%→63.2%と変化している。

有価証券報告書の【財政状態および経営成績の分析】を見ると、売上原価率の低下はコストダウンの徹底を推進した結果とある。

■売上高総利益率は34.0%→36.8%へと変化している。

これは上記売上原価の裏返しになるのだが、もう少し企業の戦略に紐つけて見てみよう。

売上高総利益率は①価格プレミアムと②生産プロセスの効率性の影響を受けるとされる。

今回システムプロにおいて売上高総利益率の改善はどちらの要因に影響されたのであろうか。

有価証券報告書の【業績等の概要】を見ると、次の通りと想定する。

(モバイル・ネットワーク事業)においては、「携帯電話の高機能化及びサービスの高付加価値化に伴い、より複雑化するソフトウェア製品の検証業務に注力すること、第三世代携帯電話に搭載されるマルチメディア機能にフォーカスした受注体制を取ること」と価格プレミアムが付けれた要因が考えられる。

(ネットワーク・ソリューション事業)においては、「データベースの安全性を検証する業務を中心とした利益率の高いシステム一括受注が大きく伸びた」という価格プレミアムの要因と「仕様の標準化、ソフトウェアのパッケージ化・標準化により生産性向上が図られ」という生産性の効率の向上の二つの要因が功を奏したと考えられる。


■販売費・一般管理費率は13.0%→14.9%と変化している。

有価証券報告書の【財政状態および経営成績の分析】を見ると、事業拡大による増加と将来を見据えた管理部門の強化による上昇のようです。

企業のとる戦略によって、数字に変化が生じるということがわかっていただけるかと思います。

監査では経営者の主張とアウトプットされた数字のつながりを検証することで適切さの判断をすることになるのですが、企業分析では将来的にその費用削減効果なり、費用支出の効果なりを判断する手立てとするのだと思います。

(第22期→第23期)
■売上原価率は63.2%から68.8%と大幅に上昇しているようだ。

有価証券報告書の【財政状態および経営成績の分析】を見ると売上原価についての言及は当期についてはなく、【業績等の概要】を見ると、「景気の回復や情報通信分野の投資に支えられ大きな需要増加が見込まれることなどから、採用の強化及び教育研修の強化に取り組み、技術者の確保と技術力の向上を図りました。また、大手新規顧客との取引拡大に伴う積極的なリソースの先行投入、大阪支社の拡充、子会社における先行投資、並びに業務提携先ソフトウェアベンダーとの協業体制強化などの先行投資を積極的に行った」と記載されています。

戦略として支出を増やしたことが読み取れます。ただ、会計的な話になるのですが、会計の原則のひとつに費用収益対応の原則があるため、先行投資したコストがすべて当期の費用に計上されるということはありません。一部は資産としてストックされ、翌期以降に費用計上されることになります。

今回の売上原価率の向上は固定費的要因が多かったのでしょうか。

(第23期→第24期)
売上原価率は若干微増し、一方販売費・一般管理費率は微減しているようですが、コメントは省略します。

(第24期→第25期)
■売上原価率は70.1%から65.1%と変化しています。
■売上総利益率は29.9%から34.9%と変化しています。

有価証券報告書の【財政状態および経営成績の分析】を見ると売上原価についての言及は当期についてはなく、【業績等の概要】を見ると、各事業について下記のような記載があります。

(モバイル・ネットワーク事業)
「携帯電話の高機能化や多品種化が一層進んできており、携帯電話がユビキタス情報端末として進化を遂げつつある中、ニーズの高いマルチメディア系機能や付加価値の高い仕様策定などの上流工程および品質検証などの下流工程を中心に業務を受注することでノウハウの蓄積と共有を図ったこと」とあります。

(ネットワーク・ソリューション事業)
準委任契約による技術サービス提供業務から請負契約による一括受託開発業務への移行を進め、開発業務における生産性向上に取り組んだことにより、前期に比べ、利益の大幅な増加とともに利益率の向上が図られました。特にモバイル・ネットワーク事業におきましては、連結子会社の株式会社ProVisionにおける品質検証部門との連携が順調に推移したことによる受注拡大効果や、旺盛な需要に対応するためリソースを優先的に配置したこともあり、前期を大幅に上回りました」とあります。

この記載から、売上総利益率は(モバイルネットワーク事業)については収益性の高い事業に整理できたことによる価格プレミアムが付けれたことと、(ネットワーク・ソリューション事業)については生産性の向上によるコストダウンが実現できたというコストダウン戦略が機能したと想定される。

■販売費・一般管理費率は13.6%から14.8%へ変化している。

この数字の変化を読み取る情報は有価証券報告書からは探せなかった。ただし、連結損益計算書の販売費及び一般管理費の費目が有価証券報告書の注記にあり、それを見ると、売上高に対する人件費の比重が高くなっているのがわかる。例えば売上高給与手当率を見ると、第24期は3.7%であったものが、第25期は5.3%と1.6ポイントアップしている。

有価証券報告書の【企業の概況】の「従業員の状況」をみると前年度と比較し、事業拡大により240名増員しているとある。
販売費及び一般管理費に計上されるであろう共通部門の人員は減少しており、一方モバイルネット事業の人員が165名増員していることから、販売費及び一般管理費の増加は当該事業の営業部門等の増員もあったのか、あるいは開発部門以外の増員があったと推定される。

以上百分率損益計算書の時系列を見てきた。過去5ヶ年増収増益であるが、各期の企業の戦略の違いが数字に反映されていたことが見えた。

(2)売上原価の構成要素の分析

つぎに売上原価の構成要素の分析を行いたいと思うが、有価証券報告書には連結ベースの売上原価の構成要素を把握資料がありません。このため、単体ベースの売上原価の製造原価明細書を使用することになるのですが、連結情報はグループ会社を含んでいるため、おのずと分析は限定的になります。

直近年の連結売上原価(2,877百万円)と単体売上原価(2,703百万円)の差異1億71千万円の差異が生じています。また、単体売上原価にはグループに対するコストが含まれている可能性もあるという意味でも、分析は限定的になることをご了承ください。

では、売上原価の構成要素の推移を見てみよう。


労務費の構成要素割合が低下する一方、外注費の構成要素割合が上昇している。この辺の要因はどういったものだろうか。

自社の開発に関しては付加価値の高い仕様設計等の上流工程と品質管理という下流工程を主に行い、コーディング等開発工程を外注に出すという整理であろうか。

この辺りの要因についてはIRへ問い合わせをしてみよう。

もしそうであるならば、(1)百分率損益計算書と(2)売上原価の構成要素分析をした結果については、営業面では付加価値の高い業務の受注を精力的に行い価格プレミアムをとるという戦略が行われ、生産面では加価値の高い上流工程と下流工程については自社開発部隊を当て、開発工程に関しては外注にだすことでコストダウンを図るというリソースの配置による生産性の効率の向上が機能していると想定される。

営業時間外に問い合わせをしてしまったが、システムプロの経営管理室の担当者の方に早速回答いただいた内容を記載しておきます。

過年度において外注を使えるほど経験が豊富でスキルの高い技術者は多く在籍しておりませんでしたが、年数(経験)を重ねると共に弊社グループ内で教育を施し、弊社グループの技術者育成にも注力したことで、より高度なマネジメントが出来るようになり、大きなプロジェクトの受注も可能になったことで、プロパー採用と共に外注を多く採用し収益の増加をはかったためであります。 また、プロパー採用に関して、新卒は年間全社員の1割程度を採用してきており、中途採用についてもスキルの高い人材を適時採用をしておりますが、売上高については年々3割程度増加をしておるため、この様な面からも外注が増加することがお分かりになられると思います。

結果、プロパーに対して外注人員が増加するため、外注を如何に効率的に配置するかを勘案すると、設計図の出来上がったものを作る工程、つまり中流(開発)工程に外注を配することになります。

すごくクリアになる回答であり、今回システムプロの成功の秘訣(強み)に迫る試みを行っているが、この回答にもその強みを推し量るヒントがあり、示唆に富む。

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