暴走する資本主義

暴走する資本主義


クリントン政権で、労働長官を務めたロバート・B・ライシュの著書。資本主義の圧倒的な成功とともに、それに反比例して弱くなり続ける民主主義について、その構造的な課題を見事に説明しきっている。読んだらすぐに役立つライフ・ハック系の本ではないが、たまには社会問題とかを根本から考えてみたい玄人向けの本だ。本書のあとがきを勝間和代さんが書いているのを見たときは「さすが!」と思った。

本書では「私たち」の2面性について解説するところから問題提起がはじまる。米国等の先進国の人びとは、消費者や投資家であるが同時に労働者や市民でもある。資本主義がより洗練されるにつれて、消費者や投資家としての人びとは、より多くの選択肢とより良い条件を得ることができるようになり、恩恵を得てきた。しかし、一方で、雇用は不安定なものとなり、労働組合は弱体化し、地域社会は崩壊しかけている。労働者や市民としての人びとの力は弱まるばかりだ。

という感じで、本書には資本主義が民主主義を飲み込んでいく様が、その歴史的な経緯とそれらの中と周囲で作用している様々な力学とともに解説されている。そして、最後には一応の処方箋めいたものが提示されている。
本書ではこの興味深い課題についての論理的で明快な解説がなされているが、同時に、ボリュームが多すぎず、文章表現も難解ではないので非常に読みやすい。また、勝間さんがあとがきで書いているように、著者が民主党員であるにもかかわらず政治的プロパガンダ臭がほとんどしないところもポイントが高い。繰り返しになるが、ライフハック系のお手軽な本に飽き足らない玄人向けに、オススメの本だ。

オバマ政権が樹立されたときにライシュが政権入りするのはほぼ確実らしい。
           

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