『月刊 監査役』(2010年7月号)の書評には『IFRS財務会計入門』が紹介されていた。

書評者いわく、監査役の皆さまに、一読お薦めたい一冊とある。基本的な入門書となるIFRS財務会計書は確かに読みには最適かもしれない。個人的にも読んでみようと思う。

そういえば、以前ご紹介した公認会計士の中田先生から大阪でもセミナーを開催されるという知らせを受けました。

このたび、IFRS『概念フレームワーク』研修会の大阪開催を決定しましたので、 臨時のお知らせをいたしました。 大阪で開催したら絶対に参加するという方がいらっしゃったので、 決断いたしました。

開催日は、9月21日(火)と22日(水)で
両日とも18:15~20:45の2時間半です。

会場は、御堂筋北御堂近くの大阪会館です。

情報システム部門、内部統制監査部門、そして、財務担当役員の方々にも
是非聞いていただきたい内容になっています。
ご興味をお持ちの方は、ご検討ください。

詳細及びお申込は、セミナーページからどうぞ。

こちらもお勧めと思われます。

平成22年8月27日付のメルシャン株式会社の開示情報「当社水産飼料事業部における不適切な取引に関する第三者員会の最終報告について」を読む。

再発防止策のひとつ、全社的な内部統制の評価と対応としては、監査役、監査部と取締役等の連携が指摘されている。

今回の不適切な取引の発覚を遅らせる原因として、監査役、監査部と取締役等との間に情報量及び不正への対処方法に関する大きな認識の相違があったことが指摘されており、「今後は取締役会と監査役とのコミュニケーションを十分に行い、不正リスクに関する情報を共有できる体制が必要である」と指摘されている。

他の会社でも監査役と取締役会との連携が十分行われずに、不正リスクに関する情報の共有化が行われていないケースは多いのではないだろうか。

また、報告書では、監査役が今般の不祥事以前に、在庫の急増に疑義をいだき、会計監査人へその旨伝えたが、会計監査人が在庫水準に問題ないという報告に対して、疑念は晴れなかったことに対して、自己との見解の相違について、質問や追加的手続きの実施を検討する等、会計監査人との連携を密にすることが必要であったことが指摘されている。

実地棚卸の際には、架空在庫に対してダミー品などの偽装により会計監査人が欺かれた経緯から、棚卸立会の際には業務に精通した会計担当者の同行と会計監査人にも会社に精通した熟練会計士を担当者とするよう常に要請することが記されている。

参考になる指摘が多いので、一読されることをお勧めします。

『月刊 監査役』(2010年7月号)の記事「法務部門の機能強化と監査役(下)-法務部門との有効な連携」(平田政和氏)を読む。

記事では、監査役が業務監査を遂行するうえで、会計の観点だけでなく、法務の観点からの発想が重要と指摘され、法務部門との連携の必要性が高いと記載されている。

法務部門の機能を強化し、監査役と法務部門の有効な連携が実現されることで、コーポレート・ガバナンスは十全に機能されるが、筆者が指摘されるように法務部門との有効な連携について法的に言及されているものはなさそうだ。

実務上では法務部門がもつ情報の収集ということに限定されており、法務部門が会社においてどのような役割を担わされているかにもよると思われるが、コーポレート・ガバナンスの機能を実現するために連携するという視点は少ないのだろうか。

法務部門が、企業活動において違法行為等が行われないようにとの観点から業務を遂行することは、等しく適法性監査を目指す監査役の職務に共通することとなり、この点に照らせば、監査役と法務部門との連携の必要性・重要性は言うを俟たないであろう、そうだとすれば、監査役としては、法務部門との連携を看過することなく、既に連携の実を上げている内部監査部門にとどまることなく、さらに進んで法務部門との連携に踏み込んでいただきたい。この実現により、監査役としては「最後の砦」としてのより優れた活躍ができるであろう。

興味深い提案であるが、実務で携わる監査役・監査役会ではどのような見解をもつのだろうか、知りたいものだ。

『会計・監査ジャーナル』(2010年9月号)の記事「独立役員制度の概要と独立役員に期待される役割について」(株式会社東京証券取引所上場部企画担当調査役 伊藤昌夫氏)を読む。


独立役員制度は、一般株主の利益保護という制度の趣旨を踏まえた運用がなされることが重要と指摘されている。平成22年3月31日に公表された「独立役員に期待される役割」の概要が紹介されている。

「上場会社の経営者と一般株主との間の利害の相違が顕在化する局面では、ともすると一般株主の利益を軽視した決定がなわれるおそれがある。こうした局面では、一般株主の利益に配慮した公平で公正な決定がなされる仕組みが上場会社のなかに設けられることが、強く求められる。」としたうえで、「上場会社の重要な業務執行に係る決定は取締役及び監査役の出席する取締役会で行われるため、その取締役又は監査役の中に独立した立場の者の存在が確保されることが、重要である。」
独立役員の役割はかなり重要なようだ。

そして独立役員に期待される役割として上場制度整備懇談会の意見が引用されている。

上場会社に対して確保が求められる独立役員は最低1名以上であり、社外取締役か社外監査役のいずれでもよいことを踏まえれば、独立役員には、上場会社の意思決定プロセスにおいて、一般株主に配慮する観点から、発言機会を求め、必要な問題点等の指摘を行い、そうした問題意識が取締役会に出席する他の役員に共有され、そのうえで取締役会などにおける判断が行われるように努めるなど、一般株主の利益保護のために行動することが期待される。

常勤の監査役や取締役に求められる役割だとも思われるが、監視機能が十分ではないことからの独立役員への期待のようだ。期待ギャップが広がらないことを期待したい。

中田清穂先生から、サイト開設のご案内があった。

このたび、私の講演活動等の情報を中心にしたサイトを開設いたしました。 講演活動では、IFRSの影響度調査の対応を始めたり、 今後のシステム対応を行う上で、お役に立てる講演を実施しています。 東京に限らず各地で講演を行っておりますので、 ご興味をお持ちの方はご活用ください。

IFRSに関する活動も精力的にされており、各々の実務に即した解説も行っていただける。

9月6日(月)7日(火)夜、東京にて、IFRS『概念フレームワーク』研修会を開催いたします。IFRSプロジェクトに参加する経理部門、経営企画部門、情報システム部門、内部統制監査部門、そして、財務担当役員の方々に是非聞いていただきたい内容になっています。ご興味をお持ちの方は、ご参加をご検討ください。

『週刊 経営財務』の記事「会社法改正で経済界から要望」を読む。

日本経団連が7月20日付けにて、会社法制の見直しにかかわる提言を公表したようだ。

企業統治の在り方で話題となる従業員選出監査役制度の導入については、以下のようなコメントを付しているようだ。

本来、監査役は会社に対する善管注意義務を負うべきであるにも関わらず、特定のステークホルダーの利害を代表する者が監査役に就任することにより、深刻な利益相反を生じ、適正な監査に支障を来たす危険がある。制度として適切ではない。

『会計・監査ジャーナル』(2010年8月号)の記事『会社法制の改正の動向』(松井秀樹弁護士)では民主党PT案における従業員代表の監査役の選任という提案は、「敵対的買収や会社分割・工場閉鎖・事業売却、解雇の際の経営陣の暴走のチェックという発想によるもののようである。さらに日本の上場企業の競争力や経営の効率を高め、海外から資本を呼び込むことも目的としている。」とあり、こうした理念・目的の受け止め方により会社法制の改正の内容に大きな影響を与えるとあるが、その通りのようだ。

監査のインセンティブのねじれについても、「現行の法制について改正を加えるようりも、むしろ、監査役が既に与えられている権能を十分に発揮できるように、体制整備や社内連携の強化等に取り組むなどの、一層の企業努力が重要。」とコメントしている。


企業の競争力強化に資する会社法制の実現を求めての提言のようだ。

『週刊 経営財務』の書評に『監査役のための会計知識と決算書の読み方分析の仕方(山添清昭著)』が紹介されていた。

本書の特徴として、「監査役のための」会計知識と決算書の見方・点検の方法について、豊かな実務経験に基づいてまとめられているようだ。

監査役に有用な知識が効率的に吸収できると同時に、実践でも使えるのかもしれない。


『月刊 監査役』(8月号)の記事「監査役のための「内部監査」入門講座(第1回)」(別府正之助伊藤忠商事株式会社理事)を読む。

監査部長・常勤監査役の経験を有する筆者が、監査役にとってもとても重要な「内部監査」について実務経験をもとに、計6回にわたり連載するその一回目である。

取締役会、監査役会、内部監査部門、そして会計監査人の4つの機関がそれぞれの役割を認識して、相互に協力することでガバナンスが有効に機能するとしつつ、特に監査役会と内部監査部門の連携・協力の重要性を指摘されている。

一義的に、日常的に経営監視の任に当たる監査役会と、社内全体を監査対象としている内部監査部門の連携・協力が、日本型ガバナンスへの懸念を払拭し、信頼を高める上での重要な「鍵」となる。

監査役会と内部監査部門が連携・協力している会社においては、それぞれの監査が有効かつ効率的に機能している事例を見受けられる。

監査役が内部監査について学ぶことはそういう意味で有意義であると思われる。実務経験者が書かれる記事であるので、残り5回も期待して学ばしていただこうと思う。

『月刊 監査役』(8月号)の記事「サブラインとしての内部通報制度とグループ内部統制への活用」(竹内朗 弁護士 プロアクト法律事務所)を読む。

記事では、「内部通報制度を内部統制システムにおける情報伝達体制のサブラインと位置付けたうえで、グループ内部統制(企業集団内部統制)への内部通報制度の活用」を検討しているようだ。

サブラインとしての内部通報制度とは。

会社の情報伝達体制においては、職制上の報告体制がメインラインであり、内部通報制度はあくまでメインラインが機能不全を起こした際に情報伝達機能を補完するサブライン(バイパスライン)である。

会社にとっては、メインラインが十分に機能することが本来の姿であるとし、メインラインとしての職制上の報告体制を強化すべきことの重要性が指摘されている。

メインラインを強化することで、1)現場の社員からメインラインを通じてリスク情報が適時適切に伝達されるようになり、全社的にリスクの評価と統制が行き届いた、リスクに強い会社となること、そして2)社員は経営者の真剣な姿勢に信頼を寄せるため、内部通報制度も安心して利用できるようになり、サブラインが強化されるとある。

たしかに内部通報制度を構築したが、うまく運用・機能されていないケースにおいては、本来のメインラインが十分機能しているかをチェックすることは有意義だと思われる。

平成22年7月30日に2件の従業員による不正行為の開示があった。

■株式会社フォーバル

■日本空調サービス株式会社

両者とも長期にわたる不正行為が繰り返されており、かつ基本的な内部統制が整備あるいは運用されていなかったことにより、防止あるいは発見がながく行われていた可能性があるようだ。

会社は、不正リスクを意識しての内部統制の構築が不慣れなことは、監査経験もなく、否めないであろう。不正リスクの観点から内部統制が不足しているかは、監査経験が豊富な監査役がもっとも的確な指摘がおこなわれるのだろうと思う。

最近不正事例が散見されるが、監査役は自社でも不正が行われているあるいは行われる可能性があるという認識で、進行年度の内部統制の整備及び運用状況を確認することは有効だろう。

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