平成22年3月11日付の株式会社ローソン及び株式会社ローソンエンターメディアの開示情報「ローソンエンターメディア元取締役による不正行為への対応の進捗について」を読む。

以前の投稿記事『連結子会社における取締役の不正行為の発覚』から進展があり、第三者委員会による中間報告が出たようだ。

中間報告によると、ローソンエンターメディアの社内体制の問題点への対応策のひとつとして、 取締役会、監査役、内部監査の監視体制強化が挙げられている。

ローソンエンターメディアの監査役会において、問題となった取引について指摘された事実はないことが記載されている。さらに、常勤監査役が取引における疑問点について元取締役に確認したが、同人の説明による納得したとあり、監査が機能しなかった事実がうかがえる。

限られた時間と資源のなかでの調査のため、さらなる分析は期待できないのかもしれないが、取締役の行為について監査役監査が機能しなかった要因についての分析結果をしりたいものだ。

監査役の条件―8つの新発想でリスクマネジメントを使いこなす』の序章 監査役の本当の仕事とは何か *監査役は本当に役立っているのか を読む。

企業の事故や事件の多くに取締役が関与している問題であるにもかかわらず、それをチェックできていないのは"監査役制度の問題か、監査役自身の問題か"と問題提起がされている。

そして著者は監査役自身の問題であると指摘されている。現実に守備範囲を越えたところで発生する事故や事件についても、監査役の責任ではないけれど、リスクの指摘や意見具申は"プロフェッション(専門職)"という立場から行なわれるべきであると。

社会が求めているのは「漫然とコンプライアンス違反の表面的なチェックを黙々と進めるという仕事」ではなく、将来経営上重要な問題をはらんでいることに対して経営者に的確にブレーキを踏むという役割ではないか。効果的なブレーキが踏めないとしたらそれは監査役自身の問題であると指摘されている。

変化が激しい経営環境においては、社会は監査役にそういった役割を期待していることは確かなのだろう。

この期待に応えるには、監査役が自信をもってブレーキを踏むための理論武装としてリスクマネジメント(リスク感性)の重要だと指摘されている。

監査役がリスクをコントロールすることができれば、現行の監査役制度のなかで十分
事件や事故を未然に防ぐことも可能なのかもしれない。

具体的にどのような働きをすればいいか。

著者は本当の監査役の仕事として8つの提案をしているようだ。

  • コーポレートガバナンスの確立に役立つこと
  • 取締役の職務を活性化させるような監査をすること
  • リスクの早期発見と早期指摘をすること
  • 適法性監査と妥当性監査のバランスを考えた監査をすること
  • 分析監査と感性監査のバランスを考えた監査をすること
  • 8つの新発想をもち新しい監査スタイルを確立すること

8つの仕事を理解するために、読み進めてみよう。


 

平成22年3月8日付の日本経済新聞の記事「東証、富士通前社長の辞任理由訂正で調査開始」を読む。

記事によると、「東京証券取引所は8日、富士通が野副州旦前社長の辞任理由を訂正したのを受け、事実関係などの調査を始めたことを明らかにした。意図的に不適切な開示をしたと判断すれば、同社に改善報告書の提出を求める可能性もある。」とある。

7日の日本経済新聞の記事「富士通、問われるガバナンス 解任の前相談役と対立続く」では、今回の辞任に至る過程において監査役も主体的にかかわっているようだ。

今回の辞任理由の開示について監査役が、その辞任理由が事実と異なるということを認識していたとしたら、監査役の責務を問われることになるのだろう。

監査役の条件―8つの新発想でリスクマネジメントを使いこなす』を購入し、読み始めようと思う。

はじめにの冒頭は本書の執筆の背景について説明されている。

「監査役は本当の仕事をしているか?」。この疑問を最近の事故・事件をみていて感じることが多く、それが本書を執筆するキッカケになりました。もし、監査役が法令などに従って適正な監査をしていれば経営陣の不正行為を差し止め、事件が防げたはずだと思うのは私一人だけではないと思います。法制度とは関係なく絶え間なく起こる事故・事件をみると最近では無力感すら漂っているように感じます。いったいこれは経営陣のリスクマネジメントの欠陥にあるのか、あるいは監査役が本当の仕事をしていないからか、どちらにあるのか。その原因と解答を明らかにしたいという思い上がりが後押ししたことも、本書の執筆の背景にあります。

著書は監査役のプロフェッショナル能力として新しいリスクマネジメントを提案されているようで、すごく興味深い。

序章をさらっと読んだだけでも、いい本であることは認識できる。ゆっくり読み進めようと思う。

平成22年3月4日付の日本経済新聞の記事「証券監視委、日本IBMを強制調査 ニイウスコー粉飾事件 」を読む。

記事には、「システム開発会社、ニイウスコー(東京、民事再生手続き中)の粉飾決算事件で、証券取引等監視委員会は4日、関係先として取引先の日本IBM本社(東京・中央)を強制調査した。架空売り上げを計上した取引の一部に日本IBMもかかわっていたとみられ、押収資料を分析するなどして複雑な取引の解明を進める。 」とある。

以前の投稿記事『粉飾決算はしていない。取引は公認会計士も認めていた。』でも取り上げた事例であるが、究明に向かって進んでいるということか。

ふと、『監査役の条件―8つの新発想でリスクマネジメントを使いこなす』の一節を思い出した。

企業不祥事が騒がれるたびに、テレビの記者会見で社長が深々とお辞儀をして「世間」にお詫びをする痛々しい姿を見ることが多くなりました。そのとき疑問に思うのは、社長の職務の執行を監査する監査役は一体何をしていたか、そして記者会見に監査役はなぜ顔を出さないのかということです。

平成22年3月4日付のニッパン(日発販売株式会社)の開示情報「当社元従業員による不正取引に関するお知らせ」を読む。

開示によると、「該元従業員の担当する取引において、平成22 年1 月末日に予定されていた仕入先への返品に係る入金がなかったため、社内調査を開始しました。その結果、当該仕入返品は実態のない架空取引であることが判明しました。さらに、複数年度にわたり架空の仕入計上、虚偽の棚卸報告等の不正な処理を繰り返し行っていた可能性があり、その詳細につき調査を進めております。」とある。

架空の仕入計上と架空の返品取引とあり、利益操作目的なのだろうか。

動機と金額インパクトはどれほどなのだろう。

平成22年3月3日付の山水電気株式会社の開示情報「平成21年12月期計算書類に対する監査意見不表明に関するお知らせ」をみる。

記事によると、「平成21年12月期の計算書類およびその附属明細書並びに連結計算書類につきまして、会計監査人より会社法第436条第2項第1号および会社法第444条第4項の規定に基づく監査について、監査意見を表明しない旨の監査報告を受領いたしました」とある。

会計監査人は、継続企業の前提である支払期日の過ぎた債務の支払と事業規模拡大の施策の実現の可否について、当該監査時点では適正な監査意見を表明するための合理的な基礎を得ることができないと判断したことによる監査意見の不表明のようだ。

平成22年3月2日付の株式会社船井財産コンサルタンツの開示情報「修正後発事象の発生に伴う平成21 年12 月期 決算短信の一部修正について」を読む。

開示によると、平成22 年2 月12 日に発表いたしました当社「平成21 年12 月期決算短信」について、ビル売却取引が修正後発事象にあたるとして一部修正するようだ。

売却時(平成22 年3月8日)に発生が見込まれる不動産売却損失のみ(440百万円)を修正後発事象として平成21 年度の連結財務諸表及び財務諸表に反映させるようだ。

以前の投稿記事『【事例で考える】修正後発事象について(1)』でも取り上げたが、修正後発事象とは次の通り。

発生した事象の実質的な原因が決算日現在において既に存在しているため、財務諸表の修正を行う必要がある事象

修正後発事象に該当するかの検討は決算日においてはことのほか重要な手続きである。その前提として、会社において網羅的に後発事象が把握されている必要がある。

監査役は決算日近辺での取締役会に出席する際には決議事項や報告事項に後発事象に該当するものがないかという視点で事項を検討されることも必要であろう。

平成22年2月27日付の日本経済新聞の記事「「社外委員会」推薦リスト作成」を読む。

記事によると、「日本公認会計士協会近畿会と大阪弁護士会は3月、企業が不祥事の調査などのために設置する社外委員会への推薦者リストを作成する。」とある。

企業にとっても、適任者を効率的に選ぶことができ、また記事にもあるが、企業が独自で選ぶ場合に比し中立性の高い委員会を構成することができることからメリットがあるのだろうか。

今回推薦リストを作成した意図は、「公認会計士と弁護士は景気低迷で企業向け業務の縮小を余儀なくされている。社外委員会への派遣をビジネス拡大につなげる狙いもある。」というものだ。

企業で不適切な会計処理等が起こらないような対策も併せて必要であると思うが。

『月刊 監査役』NO.560に『監査役の条件―8つの新発想でリスクマネジメントを使いこなす 』(徳谷昌勇著・東洋経済新報社)の書評(平田光弘氏)がある。

本書は、「監査役は本当の仕事をしているか」という疑問がきっかけになっているという。

本書は、監査役のリスク感性を監査実務でいかに発揮するかについて提案し、コーポレート・ガバナンスの実効性を高めるために監査役は何をしたらよいかを、監査役の目線で説いたものである。著者は健全なコーポレート・ガバナンスの実現には、監査役の監査機能に期待するほうが効果的であるとの考えに立ち、新しいリスクマネジメントを取り入れた監査時代の到来を確信している。

値段も1890円と手頃であるし、明日本屋に行って購入しようと思う。

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