監査役の権限と役割の最近のブログ記事

会計監査人の監査報酬の同意に関する監査役のベストプラクティスにおける第四のステップは、"事業年度を通じた会計監査人との緊密な連携の保持"となっている。(『週刊 経営財務』(22.7.12)「会計監査人の選任議案・監査報酬の決定と監査役のベストプラクティス」)


記事によると、1.事前の情報収集・報告徴収の早期着手 、2.会計監査人の「監査計画」の内容の適切性・妥当性の主体的検討 、3.会計監査人の「報酬見積り」の算出根拠の適切性・妥当性の検討 及び4.同意プロセスの確立と書面の作成 の手続きを行う前提として、「事業年度を通じて会計監査人との緊密な連携を保持し、会計監査人の監査の効率化と適正な会計監査の遂行に努める必要がある。」ことが指摘されている。

監査役が会計監査人の監査報酬を同意権を行使することは、会計監査人の監査計画の内容の妥当性やその遂行状況と結果を検証・評価していくことで、会計監査の実効性が担保されることに通じているようだ。

会計監査人の監査報酬の同意に関する監査役のベストプラクティスにおける第四のステップは、"同意プロセスの確立と書面の作成"となっている。(『週刊 経営財務』(22.7.12)「会計監査人の選任議案・監査報酬の決定と監査役のベストプラクティス」)

会計監査人の報酬等の同意は、会社法で課せられた監査役の職責である。この法定の職務について、事後的に検証可能な形で適正かつ確実に実行するため、同意のプロセスを経営執行部門との間でルール化し、かつ、実行した手続きの状況について記録を作成し証跡として残すことが重要である。

記事では、具体的なルール作りや手続きについて例示されている。

また、同意後の確認手続きの重要性も記載されている。

監査役が同意した監査報酬金額については、手続きの透明性の確保のため、経営執行部門から取締役会に報告をし、取締役会議事録にその旨の記録を留めておくことが望ましい。

会計監査人の監査報酬の同意に関する監査役のベストプラクティスにおける第三のステップは、"会計監査人の「報酬見積り」の算出根拠の適切性・妥当性の検討"となっている。(『週刊 経営財務』(22.7.12)「会計監査人の選任議案・監査報酬の決定と監査役のベストプラクティス」)

第二のステップ"会計監査人の「監査計画」の内容の適切性・妥当性の主体的検討を踏まえての今回のステップとなる。

監査役は、経営執行部門から過去の実績又は同業他社もしくは同規模会社の報酬レベルに関する情報を入手し、又は経営執行部門との意見の調整などを通じて、当該報酬単価が合理的であり、かつ総額の金額水準が妥当なものであるかについて、その適切性・妥当性を検討・判断する。

同業他社もしくは同規模会社の報酬レベルに関する情報については、有価証券報告書で容易に入手できるため、他社との比較は有意義な検討となり、実施することが望ましいだろう。

なお書きにも示唆に富む記載がある。

なお、監査役は、経営執行部門と会計監査人との折衝状況について、途中経過を含めて監視し確認する。特に、監査役が指摘又は要望した事項が、両者の折衝において適切に反映されているかに注意を払い、必要があれば都度指摘する。

会計監査人の監査報酬の同意に関する監査役のベストプラクティスにおける第二のステップは、"会計監査人の「監査計画」の内容の適切性・妥当性の主体的検討"となっている。(『週刊 経営財務』(22.7.12)「会計監査人の選任議案・監査報酬の決定と監査役のベストプラクティス」)

会社のリスクに照らして適切に監査対象・拠点が選定されているか、また監査対象毎に関与会計士がその業務経験や専門性等に照らして適切に配置され、かつそれらに基づき監査時間が適正に積み上げられているか等について、確認する。

監査対象毎に会計士の配置体制の確認は、新試験制度以降、監査法人の陣容が大幅に変化していることもあり、クライアント等でもかなりシビアにチェックしていると聞く。

監査計画の内容の適切性・妥当性については、前期比較はもちろんのこと、トピックスとなる論点に対する人員・時間の充てられかた等も確認する必要があると思われる。

会計監査人の監査報酬の同意に関する監査役のベストプラクティスにおける第一のステップは、"事前の情報収集・報告聴取の早期着手"となっている。(『週刊 経営財務』(22.7.12)「会計監査人の選任議案・監査報酬の決定と監査役のベストプラクティス」)

会計監査人の監査報酬は、監査時間に連動することから、その積算の前提となる会計監査人の監査活動の実態を綿密に把握し、評価することが重要である。

ここでは、会計監査人からだけではなく、経営執行部門からの報告も受けることにより、会計監査人の監査活動の問題点・課題の把握に努めることが指摘されている。

経営執行部門のほか、経理・財務担当部門からの聴取も有意義であろう。

記事では、このステップを実行する時期についても言及されている。

その時期については、それら監査計画や報酬見積りの原案作成の早い段階で必ず経営執行部門と会計監査人の双方から受け、監査役による検討時間が十分に確保できるタイミングで受けることが肝要である。

監査役会・監査役の皆様は事前の情報収集・報告聴取の早期着手として、経営執行部門から報告を受ける手続きを用意しているだろうか。

『週刊 経営財務』(22.7.12)の記事「会計監査人の選任議案・監査報酬の決定と監査役のベストプラクティス」を読む。

監査役の同意権は、「会計監査人の適正な監査報酬の決定に係る監査役のチェック機能は、主として、同意しないことで不合理な報酬決定が行われることに歯止めをかけるという、いわばネガティブチェックにとどまっている」という現行法における課題が指摘されている。

実務においては監査報酬の同意権が形式的にしか行使されておらず、本来法が意図している機能を果たしていないケースが少なからずあるようだ。そういった会社の監査役においては、「現行法の同意権の行使を単に形式的な手続きとして捉えるのではなく、立法趣旨の具現化を意図し、その実行に向けて取り組む必要がある」ことが記載されている。


現行実務の問題点や課題を考慮し、会計監査人の監査報酬の同意に関する監査役のベストプラクティスとして次の5つのステップが紹介されている。

  • 事前の情報収集・報告徴収の早期着手
  • 会計監査人の「監査計画」の内容の適切性・妥当性の主体的検討
  • 会計監査人の「報酬見積り」の算出根拠の適切性・妥当性の検討
  • 同意プロセスの確立と書面の作成
  • 事業年度を通じた会計監査人との緊密な連携の保持

ここまで実務上対応されている監査役・監査役会は多くはないのではないだろうか。今後は求めらてくるような気がする。

『月刊 監査役』(2010年1月号)の記事「監査役会制度と企業の社会的責任」(山本一範 姫路独協大学法学部教授)を読む。

記事のⅣ.監査役会制度と企業の社会的責任として企業の健全性確保のための監査役会の役割について言及されている。

健全性の確保つまりコンプライアンスの徹底に対する監査役会の機能としては、監査役には1)違法行為等の指摘と2)利害の調整の2つが求められているとある。

1)違法行為等の指摘においては、適法性監査は当然のこと、妥当性監査の必要性も当然のように指摘されている。そして妥当性監査を行なうにあたっては、「従業員等から経営情報が監査役に対して効果的に提供される仕組みが重要である。」と記載されている。

コンプライアンス機能が十分発揮されている企業は、監査役に情報が伝達される仕組みが構築されているケースが多い。会社としてそういった情報の伝達のしくみを構築するのは当然であるが、監査役会自らも有用な情報を収集できる体制を構築することはことのほか重要であると他社を見ていると気付くことである。

さて、2)の利害調整機能についても、会社法で用意されている制度であるが、筆者は企業の社会的責任の観点から監査役会制度の改革案として3つ例示されている。

  1. 監査役会に直接的に会社の利害関係者を代表させる試み(民主党案の従業員代表監査役の構想)
  2. 監査役会の意思決定過程のなかで利害関係者の利害を間接的に反映させる仕組み
  3. ある種の「公益代表監査役」の導入

「公益代表監査役」という概念は初めて知るものであるが、筆者は上記3つの改革案のなかでは公益代表監査役の制度がよいと指摘されている。

この公益代表監査役の制度について少し勉強してみようと思う。

平成22年6月29日付の株式会社アーム電子の開示情報「大阪証券取引所への「改善報告書」提出のお知らせ」を読む。

連結子会社で不適切なことが行われた原因として、親会社の要因として監査役監査の不備について言及されている。

アーム電子の監査役監査においては、ダイヤテックに常勤監査役がいなかったこともあり、適切にその業務への監査を行うべきでしたが、十分に行われていなかったと考えられます。毎月のダイヤテック取締役会議出席と取締役のヒヤリング監査を行い、取締役業務執行確認書での質疑応答、不適切事項有無の確認、取締役会議での業務報告を重視していたため、リスクの発見には至りませんでした。

前回の近鉄においても子会社で常勤監査役がいないことが指摘されているが、監査役監査の十分条件ではなく、必要条件として把握したほうがいいのだろうか。

改善策としては、当該子会社に常勤監査役を設置したとある。また、監査役監査の強化として、子会社の常勤監査役だけでなく、親会社監査役と密に連携し、また取締役等のヒアリングは年2回から四半期ベースとし、また内部監査室の監査の立会を図るとある。監査役としては当然の業務であるが、今回の事件を契機に当たり前のことをできる体制を構築するに至ったことになる。今後は当たり前のことをしっかり実行していく運用面が重要となる。

本来は事件が発生する前に、親会社の監査役等が子会社監査体制の不備を指摘し、経営陣がその構築に取り組むべきだったのだろう。

『経理情報』(2010.5.10・20)の記事「第三者割当等による資金調達に関する開示」(アンダーソン・毛利・友常法律事務所 吉井一浩弁護士、竹岡真太郎弁護士)を読む。

平成21年12月11日の企業内容等開示府令の改正に伴う有価証券届出書等における第三者割当等による開示内容について、開示例を照会しながら、論点が整理されている記事となっている。

改正の趣旨は「不適切な資金調達を防止し、上場会社の資本政策におけるコーポレート・ガバナンスを強化する。」ことにあるようだ。

有利発行該当性の判断等において、監査役の表明する意見等も開示が求められるケースがでている。

記事の開示例においても発行条件に関する事項において、監査役が意見を表明していることの内容開示を行っている事例が紹介されている。

なお、当社監査役3名全員(うち、社外監査役2名)から、本新株の発行価額、本新株予約権の払込金額及び行使価額を含む発行条件等は、市場慣行に従った一般的な方法であり、それ自体で割当予定先に特に有利な金額ではなく、有利発行には該当せず適法である旨の意見を得ております。(オプトロム 平成22年3月1日提出 有価証券届出書(株式募集)

記事では、「発行に係る適法性については、監査役から有利発行に該当しない旨や発行手続が適法である旨の意見を得ていることが開示されている例が多い」と分析されている。

監査役は資金調達における適法性等について検討した結果が開示されることになり、その責務は重い。資金調達に関する検討ができる体制の整備が必要となりそうだ。


有価証券報告書の関連当事者取引を見ていると、社外監査役(弁護士)に貸付金の取引がある開示があった。

社外監査役が弁護士、公認会計士や税理士がなるケースが多いが、別途顧問契約を結んでいたりする場合に、関連当事者取引で顧問契約料が開示されているケースはよく見かける。

会社法で監査役は利害関係に絡む規定はなく、あえていうと兼任禁止規定だけのしばりだけしかないため、顧問契約等の利害関係があっても監査役に就任できることになる。

使用人と同等な継続的な関係があり、取締役の指揮・命令系統にあると認められる場合には兼任は不可能と解すべきという否定説もあるが、少数説なのだろう。実務的には利害関係者が監査役になっているケースはまま見られる。

今回開示でみた社外監査役(弁護士)に貸付をしているケースはすごく違和感をいだいてしまった。独立した見地から監査役監査が遂行できるのだろうかという疑問である。顧問契約を締結している弁護士や公認会計士が監査役になる場合にも、独立性という問題は付きまとうが、実際問題はどうなのだろうか。

ただ外部からみるとやはり独立性の問題に疑義があり、実効的な監査役監査ができるのかという疑問は持たれるのではないだろうかと思う。

社外監査役(弁護士)に貸付(約3千万円)というのは株主はどういったメッセージと受け止めているのだろうか。

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