| 作曲・編曲 | : hg |
| キャラクター・作画 | : シガハナコ |
| ボーカル・台詞 | : 鳳~あげは~ |
| 企画・制作・作詞 | : MBCS |
固定資産
歌で覚える企業会計(初心者のための会計入門)の第4弾は固定資産についてです。現代の発生主義会計というコンセプトの下で登場する典型的な項目である減価償却という概念について触れます。
七色の声を持つ歌姫、鳳さんによるボーカルも3回目を迎えました。R(ねこ耳)が歌っているという設定のやさしい声、Cが歌っているという設定の少年声と続きましたが、今回はL(うさ耳)が歌っているという設定で元気な女の子声となっています。それと、今回は前回までと曲調がちょっと変わって、テクノポップ調になっています。
では、今回の動画に登場するシーンを順番に見ていきましょう。
注文殺到
最初のシーンでは、口コミで人気がでたまほろばTOYSHOPの店頭にお客さんがたくさん押し寄せてきて、ものすごい行列ができています。お客さんがたくさんやってきて、大量の商品を買い求めてくれたとしても、売るための在庫を持っていなければ販売の機会を逃してしまい、売上を伸ばすことはできません。一般論として、現代の日本では需要に対して供給側が過剰であり、如何に需要を創出するかというところが企業の成長の命運を握っています。その一方で、巧く金鉱を掘り当ててものすごい需要を作り出すことに成功したとしても、そのチャンスをきっちりと捉えて実際の売上に繋げていかないと、企業の成長を確実なものとすることはできません。場合によっては、他の会社にその需要を横取りされることもあるでしょう。じゃあ、ということで、何でもかんでも商品をかき集めて販売しようとしたり、業容を一気に拡大しようとすると、商品やサービスの品質が確保できなくなって却って評判を落としてしまうということもあります。突発的な需要というのは、正に「嬉しい悲鳴」であるけれど、極めて慎重に対処しなければならない事態でもあります。
企画会議
2つ目のシーンは企画会議です。まほろば株式会社(まほろばTOYSHOP)では、自社企画商品を工場で大量に生産しようということになったようです。
曲中でLの台詞にもありますが「ここでしか買えないものを作らなくては」、「目新しくない」し、自社企画をする意味もありません。STP(Segmentation, Targeting, Positioning)のそれぞれについて深く掘り下げて考えて、企画を作っていかなくてはなりません。そして、その際に、自分達だけの考えに基づいて決めていくのではなく、顧客の声を実際に聞き、顧客の視点から分析を行っていくことが重要です。まほろば株式会社の3人も、顧客である幼稚園の先生達の意見を聞きながら会議を行っているようです。
それから、自社企画商品を工場で作る、とさりげなく書いているのですが、これは一般的には珍しいケースです。何が珍しいのかというと、小売業として店舗でお客さんに商品を売っているまほろば株式会社が、上流である商品の企画や製造まで手を伸ばそうという点です。普通は、メーカーはメーカーで商品の企画や生産に注力し店舗を構えたりすることは行わず、小売は小売で店舗運営に注力し商品の企画や生産には手を出しません。例えば、テレビという商材の場合、ソニーやパナソニック、シャープなどは基本的には製造に特化していて小売は手がけておらず、ヤマダ電機やコジマなどの小売側も製造には手を出していません。それぞれ、みずからの得意分野に特化したほうが効率がいいし、成功確率が高まるからです。
しかし、近年、そんな分業体制とは一線を画したビジネスモデルが生まれています。その1つがSPA(speciality store retailer of private label apparel)と呼ばれる製造小売業のモデルです。その先駆けは、アパレルのGAPという会社、日本で言えばユニクロ、世界的に強いのはH&MやZaraのInditexなどです。これらの会社は、自前の店舗を各地に構える小売業のみならず、そこで販売する商品を自ら企画・デザインし、自社の工場(あるいは外注先の協力工場)で製造しています。サプライチェーン全体を自社で一貫してコントロールできるため、アパレルのように需要予測の難しい商材についても、販売機会を最大化するとともに在庫リスクを最小化することが可能になります。
分業体制に風穴を開けつつある、もう1つのビジネスモデルが、大手流通業者が手がけているPB(プライベートブランド)商品です。有名なところではイオンのトップバリュやセブン・アンド・アイのセブンプレミアムなんかがあります。広告宣伝費をかける必要が無いこと、品数(SKU)を絞っていること、大手流通業者の圧倒的な販売力を背景に大量販売が期待できることから、いわゆるNB(ナショナルブランド)品よりも小売価格を下げることが可能になっています。
銀行融資
3つ目のシーンは、工場を建設するための資金を銀行に融資してもらう場面です。工場を建てるためには、土地を手に入れ(借りてもいいわけですが)、そこに工場の建物を建設し、さらに生産設備を手に入れて設置しなくてはなりません。必要な額を手元資金だけで賄えるケースというのは稀でしょう。多くのケースでは、銀行に設備投資資金を融資してもらうことになります。融資してもらった場合の仕訳は次のようになります。融資してもらった金額だけ、現金預金という資産が増加し、そして借入金という負債が増加します。
(借方)現金預金 5,000万円 (貸方)借入金 5,000万円
それから、銀行にお金を借りに行って、すんなり貸してもらえることは少ないでしょう。普通は、「審査」というものがあります。銀行の立場から見れば、貸したお金を、あとできっちり返してもらわないと損失になってしまいます。「この会社に貸したお金はしっかり返済してもらえるだろうか?」、「この会社にはいくらまでだったら貸しても大丈夫だろうか?」ということを検討するわけです。審査のポイントは、融資先企業の業績(売上とか利益の状況)とか財政状態(負債と純資産のバランス、保有している資産の中身)とか、過去の取引履歴(今まで貸したお金をしっかりスケジュールどおりに返済しているか)だとかいろいろありますが、通常、まほろば株式会社のような設立したばかりの会社は信用がないため、銀行から多額のお金を借りることは非常に困難です。そういった場合に、少しでもお金を借りやすくするために「担保」というものを差し出します。銀行から借りたお金で生産設備(資産)を取得するのであれば、その資産を担保として銀行に差し出します(正確な表現をすると、資産に抵当権を設定するということによって、その資産の交換価値のみを差し出すということになります。)。資産を担保に差し出したとしても、引き続き、まほろば株式会社がその資産を使い続けることができます。ただし、まほろば株式会社が借入金の返済を滞らせた場合には、銀行はその担保資産を取得、売却してその代金を貸付金の回収に充ててしまいます。つまり、銀行側からみれば、担保というのは貸付金の回収が危なくなった場合に備えた、保険のようなものになります。
なお、担保の差出は会計上の取引には当たらず、仕訳を記帳する必要はありません。ただ、資産に担保が供されているのといないのとでは大きな違いですから、担保に供している資産については、貸借対照表の注記として開示されます。
固定資産の会計処理
4つ目のシーンは、新たに建設した工場で大量に生産した商品(ぬいぐるみ)に囲まれているLです。まほろば株式会社は、銀行から融資してもらった5,000万円を利用して土地を買い、そこに工場を建設し、機械を設置したようです。これを仕訳で表すと次のようになります。土地、建物、機械という資産がそれぞれ増加して、現金預金が減っています。
(借方)土地 1,000万円 (貸方)現金預金 1,000万円
(借方)建物 2,000万円 (貸方)現金預金 2,000万円
(借方)機械 2,000万円 (貸方)現金預金 2,000万円
この段階でBSを作ってみましょう。
| 現金預金 売掛金 商品 土地 建物 機械 |
2,410万円 100万円 100万円 1,000万円 2,000万円 2、000万円 |
買掛金 借入金 |
100万円 5,500万円 |
| 資本金 利益剰余金 |
2,000万円 10万円 |
ここで、土地、建物、機械という3つを何気なく資産に計上していますが、これらを費用にしなくてもよかったのでしょうか?工場の建設に要したこれらのお金は、企業活動に費やしたお金なのだから費用としてPLに計上することもできたはずです。あるいは、これらの資産は使っているうちに、あるいは時の経過とともに価値が目減りしていきますが、いつまでも買ったときの値段のままで資産として計上していてもよいのでしょうか?
結論から言えば、土地や建物については、固定資産としてBSに計上することになります。そして、土地は買ったときの値段で計上したままでいいけど、建物や機械などの償却性資産については「減価償却」という手続によって費用化していきます。減価償却という手続によって計上される仕訳は次のようになります
(借方)減価償却費 360万円 (貸方)建物減価償却累計額 360万円
(借方)減価償却費 738万円 (貸方)機械減価償却累計額 738万円
建物であれば、それを買ったときの支出額は2,000万円ですが、その2,000万円全額を買った年の費用とするのではなくて、その一部分360万円だけを「減価償却費」という費用としています。機械も同様です。買ったときの支出額は2,000万円ですが、費用とするのはその一部分738万円だけです。工場の建物や機械などは、買った後も数年間にわたって継続的に使用するのだから、その取得に要した金額は一時の費用とするのではなく、それを使用する数年間で少しずつ費用として計上していこうということです。
なお、建物の場合と機械の場合で費用計上額が360万円と738万円ということでかなり異なっていますが、これは減価償却費の計算方法を定額法と定率法という2つの方法で計算しているためです。
キーワード
いくつかキーワードがでてきているので、整理しておきましょう。
- 固定資産
固定資産とは、ざっくり言うと、会社が複数年に亘って継続的に使用する資産のことを言います。もう少し正確に言うと、売掛金や棚卸資産のように企業の正常な営業循環過程にある資産ではなく、かつ、1年以内に費用化もしくは、現金化されない資産のことを言います。
- 減価償却
減価償却とは、固定資産の取得原価をその資産を使用する各会計期間に亘って費用として配分するとともに、費用化した分だけその資産の簿価を減少させていく会計上の手続のことを言います。
- 減価償却費
減価償却という会計手続によって計算される費用であり、固定資産の取得に要した金額のうち、各期に費用として配分された金額のことを言います。
- 減価償却累計額
減価償却累計額とは、減価償却という会計手続に伴って固定資産の簿価を減少させていくために用いる勘定科目のことを言います。減価償却によって固定資産の金額を減らす際に、「建物」とか「機械」といった勘定科目の数値を直接減らしていってもいいのですが、一般的には「減価償却累計額」という勘定科目を用いて、固定資産の金額が減っているということを間接的に表現します。
例えば、直接減額すると次の1つ目の表のようになりますが、2つ目の表のように減価償却累計額を使って間接的に減額することもできるというわけです。
建物 1,620万円
建物
減価償却累計額2,000万円
▲380万円
- 定額法
定額法とは、減価償却費の計算方法の1つで、その名のとおり各期に配分する減価償却費の額を一定額にする方法を言います。
例えば、上記の2,000万円の建物を5年間の定額法で減価償却する場合は、2,000万円×0.9÷5=360万円が毎期の減価償却費になります。
0.9を乗ずるのは、取得価額の10%だけはを残存価額として残して償却しないようにするためです。
1年目 360万円 2年目 360万円 3年目 360万円 4年目 360万円 5年目 360万円
- 定率法
定率法とは、減価償却費の計算方法の1つで、各期に配分する減価償却費の額を固定資産の簿価に一定率を乗じた額にする方法を言います。
例えば、上記の2,000万円の機械を5年間の定率法で減価償却する場合は、0.369という償却率を使用して計算します。具体的な計算は下記の通りとなるのですが、注目すべき点がいくつかあって、5年間の減価償却費の総額は1,800万円、残存価額は200万円で定額法の場合と全く同じであること、償却開始直後の1年目、2年目の減価償却費が相対的に多額で償却終了間際の4年目、5年目は減価償却費が相対的に少額となっています。
なお、0.369という償却率の数字がどこから出てきたかということですが、この数字は計算によって求めることも可能ですが一般的には償却率表というものを利用します。
また、減価償却費の計算方法として一般的につかわれるのは今回紹介した定額法と定率法の2種類ですが、他の計算方法も存在します。それから、説例で建物は定額法、機械は定率法としていますが、固定資産の種類ごとにどのような減価償却方法を採るのかというのは企業が自由に選択できます。したがって、建物を定率法で償却していくことも可能です。但し、日本の会社の多くは法人税法上のルールにしたがって減価償却を行うケースが多く、その結果として建物については定額法が適用されていることが多いです。税金については、このシリーズのどこかで触れます。
1年目 738万円=2,000万円×0.369 2年目 466万円=1,262万円(=2,000万円-738万円)×0.369 3年目 294万円=796万円(=1,262万円-466万円)×0.369 4年目 185万円=502万円(=796万円-294万円)×0.369 5年目 117万円=317万円(=502万円-185万円)×0.369
- 償却資産
償却資産とは、建物や機械、工具器具備品など、減価償却の対象となる固定資産のことを言います。建物や機械などは、その使用や時の経過とともに価値が目減りしていくので、その取得原価を、減価償却という手続によって費用化していく必要があります。
- 非償却資産
償却資産とは、土地など、減価償却の対象とならない固定資産のことを言います。土地については、その使用や時の経過とともに価値が目減りするわけではないので、その取得原価を、減価償却という手続によって費用化していく必要がありません。
以上、歌で覚える企業会計(初心者のための会計入門)の第4弾「固定資産」でした。5曲目の公表は順調にいけば、また1ヶ月後の予定です。













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