作曲・編曲 : hg
キャラクター・作画 : シガハナコ
ボーカル・台詞 : 鳳~あげは~
企画・制作・作詞 : MBCS

引当金

歌で覚える企業会計(初心者のための会計入門)の第5弾は引当金についてです。読み方は「いんとうきん」ではなく、「ひきあてきん」と呼びます。この引当金も前回の減価償却という概念と同じく、現代の発生主義会計というコンセプトの下で登場する典型的な項目であります。

会計人には馴染みのあるこの会計的思考様式である"ひきあてる"ですが、会計を勉強するまでには全く知らなかった思考様式です。最近では日常生活の場面でこの"ひきあてる"ということを自然と実践していることに気づくことがあります。

皆様にも、"ひきあてる"という会計的思考様式の世界を歌を通じて開くことができましたら、幸いです。

では、ストーリーに即して、見ていきたいと思います。


毎日残業続きで忙しい



歌ではぬいぐるみの売れ行きがよく、製造から出荷まで3人でてんやわんやの対応に追われている姿が見えてきます。このがんばりが「ひきあてる」行為の伏線となります。

その前に引当金について見ておきましょう。企業会計原則注解には次のように記載されています。

将来の特定の費用又は損失であって、その発生が当期以前の事象に起因し、発生の可能性が高く、かつ、その金額を合理的に見積ることができる場合には、当期の負担に属する金額を当期の費用又は損失として引当金に繰入れ、当該引当金の残高を貸借対照表の負債の部又は資産の部に記載するものとする。 製品保証引当金、売上割戻引当金、返品調整引当金、賞与引当金、工事補償引当金、退職給与引当金、修繕引当金、特別修繕引当金、債務保証損失引当金、損害補償損失引当金、貸倒引当金等がこれに該当する。 発生の可能性の低い偶発事象に係る費用又は損失については、引当金を計上することはできない。


この定義に規定されているように、「ひきあてる」という会計行為は、4つの要件が満たされると、費用と負債を認識するということです。

「ひきあてる」行為を検討するには、下記の4つの要件がことのほか重要となります。

  • 将来の特定の費用または損失であること
  • 発生が当期以前の事象に起因すること
  • 高い発生可能性があること
  • 金額が合理的に見積り可能であること


ボーナスの支給を検討



ストーリーに戻ると、人も雇い、利益もばんばんでてきました。そこで、儲かった利益を従業員の努力の見返りとしてボーナスという形で払うということを会社は検討しています。

ボーナスは賞与ともいわれ、ナスではなく、一般的には金銭という形式で従業員に払われることになります。小学時代の同級生は中央卸売市場の八百屋卸の店で働いており、不景気の際は現物支給ということで夏の賞与にはストーリーの囃子のようにナスが支給されたこともあるようですが。

多くの会社では賞与は夏と冬の年2回(夏季賞与・冬季賞与)ぐらい支給されることが多いと思われますが、業績のいい場合には決算賞与(期末賞与)というものが支給され年3回払われることもあります。個人的にはかれこれ5年ほど賞与をもらうことはなく、さびしい境遇ですが、周りの勝ち組の中には毎月がボーナス、さらに毎日がボーナスのような人がいます。

では賞与の支給はどのように決まるのでしょうか。皆様が経理担当として社長から夏季賞与の算定をしてと指示された場合、何から始めるでしょうか。

まずは会社の規定を確認することから始めます。就業規則(給与規定や賞与規定)を確認し、あるいは労使協定で下記事項を確認します。

  • 支給対象者の範囲
  • 支給基準
  • 支給対象期間
  • 支払時期


賞与支給額の計算例を挙げておきます。

【賞与支給額の計算例】基本給×支給月数±成績考課(評価給)=賞与支給額

では、次に賞与を引当てる計算を見ていきましょう。

まず、賞与の支給基準等は下記の通りと決定しました。   
  • 事業年度......3月決算会社
  • 賞与の支給時期......6月及び12月の2回
  • 支給対象者の範囲......3人 事業年度末在職の全従業員
  • 支給対象期間......11月1日~4月30日を6月に支給、5月1日~10月31日を12月に支給
  • 支給基準......基本給×支給月数2ヵ月


イケイケの営業が売りまくり



債権の貸倒が発生




作曲・編曲 : hg
キャラクター・作画 : シガハナコ
ボーカル・台詞 : 鳳~あげは~
企画・制作・作詞 : MBCS


固定資産

歌で覚える企業会計(初心者のための会計入門)の第4弾は固定資産についてです。現代の発生主義会計というコンセプトの下で登場する典型的な項目である減価償却という概念について触れます。

七色の声を持つ歌姫、さんによるボーカルも3回目を迎えました。R(ねこ耳)が歌っているという設定のやさしい声、Cが歌っているという設定の少年声と続きましたが、今回はL(うさ耳)が歌っているという設定で元気な女の子声となっています。それと、今回は前回までと曲調がちょっと変わって、テクノポップ調になっています。

では、今回の動画に登場するシーンを順番に見ていきましょう。


注文殺到


最初のシーンでは、口コミで人気がでたまほろばTOYSHOPの店頭にお客さんがたくさん押し寄せてきて、ものすごい行列ができています。お客さんがたくさんやってきて、大量の商品を買い求めてくれたとしても、売るための在庫を持っていなければ販売の機会を逃してしまい、売上を伸ばすことはできません。一般論として、現代の日本では需要に対して供給側が過剰であり、如何に需要を創出するかというところが企業の成長の命運を握っています。その一方で、巧く金鉱を掘り当ててものすごい需要を作り出すことに成功したとしても、そのチャンスをきっちりと捉えて実際の売上に繋げていかないと、企業の成長を確実なものとすることはできません。場合によっては、他の会社にその需要を横取りされることもあるでしょう。じゃあ、ということで、何でもかんでも商品をかき集めて販売しようとしたり、業容を一気に拡大しようとすると、商品やサービスの品質が確保できなくなって却って評判を落としてしまうということもあります。突発的な需要というのは、正に「嬉しい悲鳴」であるけれど、極めて慎重に対処しなければならない事態でもあります。

企画会議


2つ目のシーンは企画会議です。まほろば株式会社(まほろばTOYSHOP)では、自社企画商品を工場で大量に生産しようということになったようです。
曲中でLの台詞にもありますが「ここでしか買えないものを作らなくては」、「目新しくない」し、自社企画をする意味もありません。STP(Segmentation, Targeting, Positioning)のそれぞれについて深く掘り下げて考えて、企画を作っていかなくてはなりません。そして、その際に、自分達だけの考えに基づいて決めていくのではなく、顧客の声を実際に聞き、顧客の視点から分析を行っていくことが重要です。まほろば株式会社の3人も、顧客である幼稚園の先生達の意見を聞きながら会議を行っているようです。


それから、自社企画商品を工場で作る、とさりげなく書いているのですが、これは一般的には珍しいケースです。何が珍しいのかというと、小売業として店舗でお客さんに商品を売っているまほろば株式会社が、上流である商品の企画や製造まで手を伸ばそうという点です。普通は、メーカーはメーカーで商品の企画や生産に注力し店舗を構えたりすることは行わず、小売は小売で店舗運営に注力し商品の企画や生産には手を出しません。例えば、テレビという商材の場合、ソニーやパナソニック、シャープなどは基本的には製造に特化していて小売は手がけておらず、ヤマダ電機やコジマなどの小売側も製造には手を出していません。それぞれ、みずからの得意分野に特化したほうが効率がいいし、成功確率が高まるからです。

しかし、近年、そんな分業体制とは一線を画したビジネスモデルが生まれています。その1つがSPA(speciality store retailer of private label apparel)と呼ばれる製造小売業のモデルです。その先駆けは、アパレルのGAPという会社、日本で言えばユニクロ、世界的に強いのはH&MやZaraのInditexなどです。これらの会社は、自前の店舗を各地に構える小売業のみならず、そこで販売する商品を自ら企画・デザインし、自社の工場(あるいは外注先の協力工場)で製造しています。サプライチェーン全体を自社で一貫してコントロールできるため、アパレルのように需要予測の難しい商材についても、販売機会を最大化するとともに在庫リスクを最小化することが可能になります。

分業体制に風穴を開けつつある、もう1つのビジネスモデルが、大手流通業者が手がけているPB(プライベートブランド)商品です。有名なところではイオンのトップバリュやセブン・アンド・アイのセブンプレミアムなんかがあります。広告宣伝費をかける必要が無いこと、品数(SKU)を絞っていること、大手流通業者の圧倒的な販売力を背景に大量販売が期待できることから、いわゆるNB(ナショナルブランド)品よりも小売価格を下げることが可能になっています。

銀行融資


3つ目のシーンは、工場を建設するための資金を銀行に融資してもらう場面です。工場を建てるためには、土地を手に入れ(借りてもいいわけですが)、そこに工場の建物を建設し、さらに生産設備を手に入れて設置しなくてはなりません。必要な額を手元資金だけで賄えるケースというのは稀でしょう。多くのケースでは、銀行に設備投資資金を融資してもらうことになります。融資してもらった場合の仕訳は次のようになります。融資してもらった金額だけ、現金預金という資産が増加し、そして借入金という負債が増加します。

(借方)現金預金 5,000万円 (貸方)借入金 5,000万円


それから、銀行にお金を借りに行って、すんなり貸してもらえることは少ないでしょう。普通は、「審査」というものがあります。銀行の立場から見れば、貸したお金を、あとできっちり返してもらわないと損失になってしまいます。「この会社に貸したお金はしっかり返済してもらえるだろうか?」、「この会社にはいくらまでだったら貸しても大丈夫だろうか?」ということを検討するわけです。審査のポイントは、融資先企業の業績(売上とか利益の状況)とか財政状態(負債と純資産のバランス、保有している資産の中身)とか、過去の取引履歴(今まで貸したお金をしっかりスケジュールどおりに返済しているか)だとかいろいろありますが、通常、まほろば株式会社のような設立したばかりの会社は信用がないため、銀行から多額のお金を借りることは非常に困難です。そういった場合に、少しでもお金を借りやすくするために「担保」というものを差し出します。銀行から借りたお金で生産設備(資産)を取得するのであれば、その資産を担保として銀行に差し出します(正確な表現をすると、資産に抵当権を設定するということによって、その資産の交換価値のみを差し出すということになります。)。資産を担保に差し出したとしても、引き続き、まほろば株式会社がその資産を使い続けることができます。ただし、まほろば株式会社が借入金の返済を滞らせた場合には、銀行はその担保資産を取得、売却してその代金を貸付金の回収に充ててしまいます。つまり、銀行側からみれば、担保というのは貸付金の回収が危なくなった場合に備えた、保険のようなものになります。

なお、担保の差出は会計上の取引には当たらず、仕訳を記帳する必要はありません。ただ、資産に担保が供されているのといないのとでは大きな違いですから、担保に供している資産については、貸借対照表の注記として開示されます。

固定資産の会計処理


4つ目のシーンは、新たに建設した工場で大量に生産した商品(ぬいぐるみ)に囲まれているLです。まほろば株式会社は、銀行から融資してもらった5,000万円を利用して土地を買い、そこに工場を建設し、機械を設置したようです。これを仕訳で表すと次のようになります。土地、建物、機械という資産がそれぞれ増加して、現金預金が減っています。

(借方)土地 1,000万円 (貸方)現金預金 1,000万円

(借方)建物 2,000万円 (貸方)現金預金 2,000万円

(借方)機械 2,000万円 (貸方)現金預金 2,000万円

この段階でBSを作ってみましょう。

現金預金

売掛金

商品

土地

建物

機械
2,410万円

100万円

100万円

1,000万円

2,000万円

2、000万円
買掛金

借入金
100万円

5,500万円
資本金

利益剰余金
2,000万円

10万円

ここで、土地、建物、機械という3つを何気なく資産に計上していますが、これらを費用にしなくてもよかったのでしょうか?工場の建設に要したこれらのお金は、企業活動に費やしたお金なのだから費用としてPLに計上することもできたはずです。あるいは、これらの資産は使っているうちに、あるいは時の経過とともに価値が目減りしていきますが、いつまでも買ったときの値段のままで資産として計上していてもよいのでしょうか?

結論から言えば、土地や建物については、固定資産としてBSに計上することになります。そして、土地は買ったときの値段で計上したままでいいけど、建物や機械などの償却性資産については「減価償却」という手続によって費用化していきます。減価償却という手続によって計上される仕訳は次のようになります

(借方)減価償却費 360万円 (貸方)建物減価償却累計額 360万円

(借方)減価償却費 738万円 (貸方)機械減価償却累計額 738万円

建物であれば、それを買ったときの支出額は2,000万円ですが、その2,000万円全額を買った年の費用とするのではなくて、その一部分360万円だけを「減価償却費」という費用としています。機械も同様です。買ったときの支出額は2,000万円ですが、費用とするのはその一部分738万円だけです。工場の建物や機械などは、買った後も数年間にわたって継続的に使用するのだから、その取得に要した金額は一時の費用とするのではなく、それを使用する数年間で少しずつ費用として計上していこうということです。

なお、建物の場合と機械の場合で費用計上額が360万円と738万円ということでかなり異なっていますが、これは減価償却費の計算方法を定額法と定率法という2つの方法で計算しているためです。

キーワード

いくつかキーワードがでてきているので、整理しておきましょう。
  • 固定資産
    固定資産とは、ざっくり言うと、会社が複数年に亘って継続的に使用する資産のことを言います。もう少し正確に言うと、売掛金や棚卸資産のように企業の正常な営業循環過程にある資産ではなく、かつ、1年以内に費用化もしくは、現金化されない資産のことを言います。

  • 減価償却
    減価償却とは、固定資産の取得原価をその資産を使用する各会計期間に亘って費用として配分するとともに、費用化した分だけその資産の簿価を減少させていく会計上の手続のことを言います。

  • 減価償却費
    減価償却という会計手続によって計算される費用であり、固定資産の取得に要した金額のうち、各期に費用として配分された金額のことを言います。

  • 減価償却累計額
    減価償却累計額とは、減価償却という会計手続に伴って固定資産の簿価を減少させていくために用いる勘定科目のことを言います。減価償却によって固定資産の金額を減らす際に、「建物」とか「機械」といった勘定科目の数値を直接減らしていってもいいのですが、一般的には「減価償却累計額」という勘定科目を用いて、固定資産の金額が減っているということを間接的に表現します。
    例えば、直接減額すると次の1つ目の表のようになりますが、2つ目の表のように減価償却累計額を使って間接的に減額することもできるというわけです。
    建物 1,620万円

    建物
    減価償却累計額
    2,000万円
    ▲380万円

  • 定額法
    定額法とは、減価償却費の計算方法の1つで、その名のとおり各期に配分する減価償却費の額を一定額にする方法を言います。
    例えば、上記の2,000万円の建物を5年間の定額法で減価償却する場合は、2,000万円×0.9÷5=360万円が毎期の減価償却費になります。
    0.9を乗ずるのは、取得価額の10%だけはを残存価額として残して償却しないようにするためです。
    1年目 360万円
    2年目 360万円
    3年目 360万円
    4年目 360万円
    5年目 360万円

  • 定率法
    定率法とは、減価償却費の計算方法の1つで、各期に配分する減価償却費の額を固定資産の簿価に一定率を乗じた額にする方法を言います。
    例えば、上記の2,000万円の機械を5年間の定率法で減価償却する場合は、0.369という償却率を使用して計算します。具体的な計算は下記の通りとなるのですが、注目すべき点がいくつかあって、5年間の減価償却費の総額は1,800万円、残存価額は200万円で定額法の場合と全く同じであること、償却開始直後の1年目、2年目の減価償却費が相対的に多額で償却終了間際の4年目、5年目は減価償却費が相対的に少額となっています。
    なお、0.369という償却率の数字がどこから出てきたかということですが、この数字は計算によって求めることも可能ですが一般的には償却率表というものを利用します。
    また、減価償却費の計算方法として一般的につかわれるのは今回紹介した定額法と定率法の2種類ですが、他の計算方法も存在します。それから、説例で建物は定額法、機械は定率法としていますが、固定資産の種類ごとにどのような減価償却方法を採るのかというのは企業が自由に選択できます。したがって、建物を定率法で償却していくことも可能です。但し、日本の会社の多くは法人税法上のルールにしたがって減価償却を行うケースが多く、その結果として建物については定額法が適用されていることが多いです。税金については、このシリーズのどこかで触れます。
    1年目 738万円=2,000万円×0.369
    2年目 466万円=1,262万円(=2,000万円-738万円)×0.369
    3年目 294万円=796万円(=1,262万円-466万円)×0.369
    4年目 185万円=502万円(=796万円-294万円)×0.369
    5年目 117万円=317万円(=502万円-185万円)×0.369

  • 償却資産
    償却資産とは、建物や機械、工具器具備品など、減価償却の対象となる固定資産のことを言います。建物や機械などは、その使用や時の経過とともに価値が目減りしていくので、その取得原価を、減価償却という手続によって費用化していく必要があります。

  • 非償却資産
    償却資産とは、土地など、減価償却の対象とならない固定資産のことを言います。土地については、その使用や時の経過とともに価値が目減りするわけではないので、その取得原価を、減価償却という手続によって費用化していく必要がありません。

以上、歌で覚える企業会計(初心者のための会計入門)の第4弾「固定資産」でした。5曲目の公表は順調にいけば、また1ヶ月後の予定です。



作曲・編曲 : hg
キャラクター・作画 : シガハナコ
ボーカル : 鳳~あげは~
企画・制作・作詞 : MBCS


掛取引

歌で覚える企業会計(初心者のための会計入門)の第3弾は信用(掛)取引についてです。前回の第2回目では、直感的に理解しやすい現金取引を事例に用いて、複式簿記の記帳方法を解説しましたが、今回は現在の企業取引(特にB2Bの企業間取引)で一般的に使われている、信用(掛)取引について触れます。

このシリーズでは、ボーカルに七色の声を持つ歌姫、さんを迎えていますが、前回のR(ねこ耳)が歌っているという設定のやさしい声から一転、今回はCが歌っているという設定の少年声となっています。

今回の動画に登場するシーンで会計上の取引になるのは、前回と同様に「商品を仕入れる」ことと「商品を販売する」ことの2つだけです。商品を仕入れてきて、商品を販売する、そしてその代金の決済手段が現金ではなく掛である、というのがこの2曲目のテーマです。


掛売上の会計処理

2曲目の最後では、個人のお客さんに商品を現金で販売したところで終わりでした。その段階でのBS(貸借対照表)とPL(損益計算書)は次のようなものでした。

現金預金

商  品
2,410万円

92万円
借入金 500万円
資本金

利益剰余金
2,000万円

2万円

売上原価 8万円 売上高 10万円
利益 2万円


私たちが日常的に買い物をする際などは、そのように商品と現金とをその場で交換するという取引は一般的ですが、今日の企業間取引では異なります。継続的、反復的に繰り返される取引について、いちいち現金決済を行っていたら手間ばかりがかかってしまうからです。通常は、掛取引という形を採り、取引から一定の期間が経過した後にまとめて決済をします。


お城の役人に呼ばれた3人は、王立幼稚園で使うおもちゃを大量に納入するように仰せつかります。このように法人(や行政機関)等を相手にしたビジネスでは取引のボリュームが大きくなることが期待できます。1回の取引あたりの手間を考えれば、企業相手にビジネスを行ったほうが効率的である場合も多いでしょう。まほろばTOYSHOPの3人も、保有していた商品を一気にすべて売ることができました。そして3人が王立幼稚園に納入した商品の代金は、末締で翌末払いということになりました。これは、例えば、4月の上旬、中旬、下旬と3回に亘って商品を納入したとしても、お城からお金を払ってもらえるのは5月末になるということを意味しています。

じゃあ、お金が入金するのが5月末なら、売上計上(帳簿に記帳)をするタイミングも5月末となるのでしょうか?それは違います。通常、売上の計上タイミングは、商品を引き渡したときとされています。したがって、3人が4月に商品を納入したタイミングで次のような仕訳を起こします。この際、2曲目で触れたのと同様に、引き渡した商品の減少を記録することを忘れてはいけません。商品を引き渡し、資産が減った分については、費用を計上するのでした。

(借方)売掛金 100万円 (貸方)売上 100万円

(借方)売上原価 92万円 (貸方)商品 92万円


2曲目(現金取引)の時の売上計上の仕訳に似ていますが、左側、借方の科目が現金預金ではなくて売掛金となっているところが異なります。この売掛金というのは、得意先、販売先に対する売上債権を意味する勘定科目です。この売掛金という科目の残高は、所定の期間が過ぎれば得意先からの入金により、いずれは現金化することが期待できる金額です。

さて、上記2行の仕訳が追加された、この段階でBS、PLがどのようになるのか見てみましょう。

現金預金

売掛金
2,410万円

100万円
借入金 500万円
資本金

利益剰余金
2,000万円

10万円

売上原価 100万円 売上高 110万円
利益 10万円

92万円の在庫を100万円で売ったのだから、まほろばTOYSHOPはお城との取引で8万円の利益を計上することができました。PLには、当初の数値に加え、これら100万円の売上、92万円の売上原価、8万円の利益が追加されています。そして、このPL上の扱いは、現金で売ったときも、掛で売ったときも区別無く、同じようになっています。

一方、BSの方を見てみると、引き渡した分の在庫が減少していること、利益を計上した分だけ自己資本(利益剰余金)が増加している点は、前回の現金取引の時と同じです。そして、現金売上の時と異なるのは、売上の対価の分だけ売掛金という資産が増加している点です。



掛取引と資金繰り

まほろばTOY SHOPの場合は、3人が用意した自己資金に加え、VCからの出資金、銀行からの借入金という形で潤沢な資金を保有しているので、すぐには困りませんが、このような掛売上の規模が段々と膨らんでくると資金繰りが苦しくなってきます。

まほろばTOY SHOPの仕入先は市場の現金問屋です。商品を仕入れるためには、その場で現金を払わなくてはなりません。例えば、4月の初旬に王立幼稚園に納める商品を買うのが3月下旬だとすると、まず、3月下旬にはお金が出て行きます。そして、その出て行ったお金が売上代金として帰ってくるのが、5月の末日となります。ということは、4月下旬に仕入れる分と5月下旬に仕入れる分については別に資金が必要ということになります。すなわち、まほろばTOYSHOPとしては、少なくとも3ヶ月分の仕入れ代金を上回る資金を常に用意しておかないとならないということになります。そして、まほろばTOYSHOPの業容が拡大すれば、拡大するほど、必要となる資金の額が大きくなっていきます。

というわけで、掛売上により売掛金の額が増えるということは、資金繰的には段々と苦しくなることが予想されます。資金繰に行き詰れば倒産してしまいますから、何とかしなくてはなりません。何とかする方法の1つは、仕入側の決済方法も掛に変えてしまうことです。例えば、売上側と同様に月末締の翌月末払いとしたら、どうなるでしょうか?3月下旬に仕入れた商品に係る代金の支払は4月末に行うこととなります。したがって、4月中に納品した商品の支払いは4月末で、売上代金の回収は5月末になり、運転資金として必要なのは4月下旬と5月下旬の仕入代金の2か月分となります。先ほどの3か月分の資金が必要だ、という状況と比べると少しだけ余裕がでてきました。そして、支払条件を翌々月末払いとか、翌々々月末払いとかに変えれば、必要な運転資金は1か月分、0か月分と減っていきます。

売上代金の回収条件と、仕入代金の回収条件の組み合わせ次第では、資本金や借入金などの形で資金を全く用意しなくても無限にビジネスを伸ばし続けることも理屈的には可能です。しかし、そんな状態はそう簡単には実現できません。誰もが自社に有利な取引条件を求めて厳しい交渉を繰り返しているからです。基本的に、誰もが、入金はできるだけ早く、支払いはできるだけ遅く、なるように希望しています。そうすると、取引者間の利害は相反しますから、必然的に交渉力の強い会社に有利なように取引条件が決まってきます。

交渉力が強いとはどういうことかというと、購入量が多くバイイングパワーが強い会社、稀少な他では手に入らないような商品を販売している会社などが該当します。たくさん買ってくれる人と取引することができれば、売上が増え、営業効率が向上し、利益が出やすくなりますから、多くの会社がそういう購入量が多い会社と取引をしたがります。そうなると、購入量が多い会社は自社に有利なように支払条件を設定できるかもしれません。逆に、稀少な他では手に入らないような商品を販売している会社であれば、顧客が他の取引先に逃げることが困難であるため、回収条件を自社に有利に設定することができるかもしれません。

実は、まほろばTOYSHOPのようなできたばかりの会社は、なかなか周囲から信用してもらうことが難しく、自社に有利な取引条件を設定することは困難であるのが現実です。



今回のケースでは、最後の方で、まほろばTOYSHOPの3人が、仕入先と交渉をして現金取引から掛取引に変更しようとしています。仕入取引を掛で記帳すると次のようになります。売掛けのときと同様に考えればいいですが、勘定科目として現金の代わりに買掛金というものが登場します。この買掛金というのは、取引先、仕入先に対する仕入債務を意味する勘定科目です。この買掛金という科目の残高は、所定の期間が過ぎれば取引先への支払により、いずれは現金が流出することが決まっている金額です。

(借方)商品 100万円 (貸方)買掛金 100万円


借方は、商品となっており、仕入れた分だけ資産が増加したということを意味しています。そして貸方は現金が流出しているわけではありません。ちょっと小難しい言い方をすれば、仕入先から供与された信用を使って資金を調達し、その資金で商品を手に入れている、というように解することができます。この段階でBSを作ると次のようになります。

現金預金

売掛金

商品
2,410万円

100万円

100万円
買掛金

借入金
100万円

500万円
資本金

利益剰余金
2,000万円

10万円





以上、歌で覚える企業会計(初心者のための会計入門)の第3弾「掛取引」でした。4曲目の公表は順調にいけば、また1ヶ月後の予定です。




作曲・編曲 : hg
キャラクター・作画 : シガハナコ
ボーカル : 鳳~あげは~
企画・制作・作詞 : MBCS


現金取引

歌で覚える企業会計(初心者のための会計入門)の第二弾は現金取引についてです。現在の企業取引(特にB2Bの企業間取引)では、信用(掛)取引が一般的ですが、それに触れる前に直感的に理解しやすい現金取引を事例に用いながら解説を進めていきたいと思います。

前回(1曲目:会社の設立)では、ボーカルに初音ミクを起用しましたが、今回からは人間の声にしようということで、七色の声を持つ歌姫、さんにご協力いただいています。この2曲目では、R(ねこ耳)が歌っているという設定です。

今回の動画に登場するイラストシーンは4つ。

  • 会社を設立した3人(C、L、R)が、お店に並べる商品を仕入れるために街の市場に出かけて商品を物色している様子。
  • ぬいぐるみやおもちゃなど仕入れる商品を決めた3人が、問屋のおじさん(くま)と取引条件について交渉をしている様子。
  • おもちゃ屋さんを開業したお店に、早速、最初のお客さんである女の子3人組がやってきて、C(手前に後頭部だけが見える)が接客している様子。
  • 開業したばかりの店舗に、商品を並べたり、飾り付けをしたりで大忙しの3人の様子。

これら4つのシーンで会計上の取引になるのは、「商品を仕入れる」ことと「商品を販売する」ことの2つだけです。商品を仕入れてきて、商品を販売する、そしてその代金の決済手段が現金である、というのがこの2曲目のテーマです。


仕入取引の会計処理

1曲目の「会社の設立」の時は、いくつかのキーワードについて概要を解説するところから入ったのですが、今回は特に解説が必要なテクニカルタームが少ないので、歌の中にでてきた取引についての会計処理を見てみましょう。

1曲目の最後では、会社が設立され、資本金も払い込まれ、銀行からお金を借りた、という状態でした。その時点の貸借対照表は下記のようなものでした。表の左側には会社が保有している資産(現金預金2,500万円のみ)が載っていて、表の右側にはその資産の調達方法(銀行からの借入金500万円と、株主が出資した資本金2,000万円)が載っています。

現金預金 2,500万円 借入金 500万円
資本金 2,000万円


街の市場に行った3人は、問屋のおじさん(くま)と交渉して、おもちゃを仕入れてきました。仕入れてきたおもちゃの代金が100万円だったとすると、この取引を複式簿記で記帳すると次のようになります

(借方)商品 100万円 (貸方)現金預金 100万円


これは、100万円の現金と交換に同等の価値がある商品(在庫)という資産を手に入れた、ということを表しています。別の言い方をすると、100万円分の価値がある商品(在庫)が新たに会社の保有資産に加わったけれど代わりに、100万円の現金が減った、ということになります。

余談ですが、市販されている簿記の入門テキストを読むと、こういう場面では借方の科目として「仕入」というものを使って記帳するように説明しているものがほとんどではないかと思われます。決算整理というテクニカルな処理を登場させるために、そのような例示を使っているのだと推測されますが、試験を受けるのでもない限り、わざわざ理解し難い方法を採ることもありませんので、ここでは直感的に理解しやすい「商品」という科目名を使って説明を進めていきたいと思います。


繰り返しになりますが、複式簿記において、商品を現金で仕入れてくるという取引は、「相互に同等の価値がある商品と現金とを交換する」というように解釈し、「商品が増える代わりに同額だけ現金が減った」という形で記録します。このように仕入取引を記帳した結果、会社の貸借対照表は次のようになります。

現金預金

商  品
2,400万円

100万円
借入金 500万円
資本金 2,000万円

上記の仕入取引後の貸借対照表については、2つほどポイントがあります。

まず1つは、「商品が増える代わりに同額だけ現金が減った」ということが表されている点です。具体的には、今まで存在しなかった「商品100万円」という資産が新たに登場しています。そしてその代わりに、2,500万円あった現金預金が100万円減って、2,400万円になっています。

そして2つ目のポイントは、資産の総額、すなわち左側の合計額に変動が無いということです。もともと資産の総額は現金預金のみで2,500万円でしたが、仕入れ取引後は、現金預金2,400万円と商品100万円を足して2,500万円となっています。貸借対照表の左側の合計額に全く変動がないので、右側の借入金とか資本金といった資金調達の状態にもまったく変動がありません。


売上取引の会計処理

次に売上取引についてみてみます。新規オープンしたばかりのお店「まほろばTOY SHOP 」に最初のお客さん達、女の子3人組がやってきました。


手前に後頭部だけが写っているCが接客をしています(禿でなくてよかった・・)。女の子3人組はいろいろとたくさん買って帰ったようですが、ここでは仮に10万円分の買い物をしていってくれたこととします。つまり、3人は商品代金の10万円を支払い、代わりに商品であるぬいぐるみとかおもちゃを持って帰えったということにします。この取引を複式簿記で記帳すると、次のようになります。

(借方)現金預金 10万円 (貸方)売上高 10万円


まず、左側に着目してみると現金預金が10万円増えた、という取引になります。お客さんが商品の代金として払ってくれた金額です。そして右側を見てみると「売上高」という科目が登場しています。これは、会計上の用語で「収益」とよばれる項目に属します。ちょっと専門用語がでてきたので、ここでいくつか紹介しましょう。

  • 収益
    収益とは、企業等が会社外部に提供した財貨やサービスの価値であり、資産の増加要因となるもののことを言います。「収入」と似た概念なのですが、「収益」と「収入」は厳密に区別する必要があります。この「収益」と「収入」の区別を理解することが、現代の企業会計を理解するうえで重要なポイントのひとつになります。この2つの違いがどこにあるのかという点については、次回第3回目で触れます。ここでは暫定的に、「収益とは売上高のことだ」くらいに覚えておいてください。(さきほど、売上高は収益に属する、と書いたのと逆説的ですが)

  • 費用
     費用とは、企業等が会社外部から提供された財貨やサービスの価値であり、資産の減少要因となるもののことを言います。先ほどの「収益」の反対の概念になります。したがって、先ほどと同様に「費用」と「支出」を厳密に区別して理解する必要があります。これについても先ほど同様に第3回で触れます。

  • 利益
     利益とは、収益と費用の差額のことを言います。もう少し厳密には、収益と費用の差額がプラスのときに利益、差額がマイナスのときに損失となります。

話をまほろばTOY SHOPの売上に戻しましょう。先ほどは、販売により現金預金の増加と収益の発生を記録したところまででした。売上あるいは販売という取引には、多くの場合、もう1つの要素が関係してきます。それは、費用が発生するということです。

今回のケースでは、お客さんから販売代金を受け取る代わりに、商品であるぬいぐるみやおもちゃをお客さんに引き渡しています。そう、商品という資産の減少を記録しなくてはなりません。これを複式簿記で記録すると次のようになります。

(借方)売上原価 8万円 (貸方)商品 8万円


ここでは金額を適当に8万円ということにしていますが、正確に書くと「売れてお客さんに引き渡した商品の価値を、その商品を買ってきたときの金額」で記録することになります。もういちど、おさらいしてみます。商品は、最初、それを購入するときに費やした金額で資産として計上されます。そして、それが販売されたときに、その購入したときの金額で費用として計上されます。


利益額の計算

ここで、これまでの取引を集計してみましょう。ここで損益計算書という表が登場します。これは、企業の経営成績を表す決算書のことを言い、一般的にはPL(Profit and Loss Statementの略)と呼ばれています。

売上原価 8万円 売上高 10万円
利益 2万円

このPL、右側に収益である売上高、左側に費用である売上原価が記載されています。そして、売上高10万円と売上原価8万円の差額である2万円が利益として記載されています。収益と費用の差額がプラスのときは利益でしたね。

次に、貸借対照表を見てみましょう。

現金預金

商  品
2,410万円

92万円
借入金 500万円
資本金

利益剰余金
2,000万円

2万円

左側から見ていきましょう。お客さんから商品代金10万円をもらっているので、現金預金の金額が2,400万円から10万円増えて2,410万円になっています。商品は100万円だったのが、お客さんに引き渡した分に相当する8万円だけ減って92万円になっています。ここで、右側の会社が保有する資産の金額合計が、それまでの2,500万円から2万円ほど増えて2,502万円になっています。

そして、貸借対照表の右側を見てみると、資本金の下に利益剰余金という科目が登場し2万円が計上されています。これは、先ほど損益計算書に載っていた利益2万円が、貸借対照表にも転記され、それまでの利益剰余金0円に加算されたものです。

利益の定義は、会社が獲得した収益と会社が費やした費用との差額でした。収益の定義は会社が企業外部に提供した財貨、サービスの価値、費用は会社がその活動を営むために費消した財貨、サービスの価値でした。そんな収益と費用の差額であるということは、利益は企業活動によって新たに生み出された付加価値であるということができます。企業活動によって生み出された付加価値は会社の所有者である株主に帰属しますから、利益剰余金は資本金と同様に資本の一項目として貸借対照表に載せることになります。

ここで、貸借対照表の右側の項目は、借入金500万円、資本金2,500万円、利益剰余金2万円なので全部合計してみるとその金額は2,502万円になります。左側の資産の合計と一致しますね。第1回でも少し触れましたが、複式簿記においては企業の取引を全て右側と左側の2つの要素に分解して記録していくので、その集計結果も当然に左右がバランスすることになります。



以上、歌で覚える企業会計(初心者のための会計入門)の第2弾「現金取引」でした。第3弾の公表は順調にいけば1ヶ月後の予定です。1ヶ月経っても公表されない場合は、「順調ではないんだな」と察してください。


作曲・編曲・打込: hg
キャラクター・作画: シガハナコ
企画・制作・作詞: MBCS

会社の設立

歌で覚える企業会計(初心者のための会計入門)の第一弾は会社の設立についてです。今回は、会計というよりは、会計を理解するうえで避けては通れない会社法(日本では少し前まで商法という法律の一部分でした)についての記述が多くなっています。

このなかででてくる3人のキャラクターですが、男の子は「C」、うさぎは「L」、ねこは「R」という名前です。

今回の動画に登場するシーンは2つ。C、L、Rの3人が会社を作って、まほろば株式会社(架空の名前であり、実在する同名の会社とは一切関係ありません)の看板を掲げようとしているシーンと、3人で会社の事業計画についてミーティングをしているシーンです。

さて、株式会社って何でしょうか?そもそも会社って何でしょうか?資本金って?企業会計を理解するためには、まずは、こういった会社法上の基本的な概念の意味を押さえることが重要です。



キーワードの解説

  • 会社
    会社とは営利を目的とした社団法人のことを言います。

    営利を目的とは、商売をして儲けることを目的にしているという意味です。社団は人の集まりのことを言います。ここで気をつけたいのは、会社は従業員が集まっているという意味で社団なのではなく、出資者のが集まっているという意味で社団です。で、法人とは何かというと、ヒト(自然人)ではないが法律上、権利義務の当事者となることができるとみなされるものを言います。

    もう少し詳細に意味を押さえたい人は、wikipediaとかで調べてみてください。

  • 株式会社
    株式会社は、多くの参加者から資金を集めることにより、リスクがある事業や大規模事業を行うことを可能にするためにできた会社形態です。

    株式会社の特色は"株式"と"有限責任"にあります。

    株式とは、株式会社の出資者としての地位(持分)のことを言います。また、その出資者としての地位(持分)が細分化された割合的単位の形をとるというのも株式会社の特徴です。割合的単位というのも、会社法のテキストに必ず出てくる独特の言い回しですが、1株とか2株とか出資者が保有する株の数、あるいは保有比率がその出資者の権利の大きさを示すという意味です。

    有限責任とは、株式会社の株主がその出資金額を限度とする責任を負うだけで、会社の債権者に対しなんらの責任も負わないことを意味します。例えば、会社が倒産したときのことを考えて見ます。株主が出資したお金は全く戻ってこないかもしれません。ただ、株式会社の場合は、返済しきれずに残った借金については株主が責任を負う必要はありません。これが合名会社という会社形態の場合は、出資者が会社の債務について最後まで責任を負わなくてはなりません。

    この株式という仕組みがあることにより、株式会社は多くの人から少しずつ少しずつお金を集めて、大規模な事業の元手とすることができるのです。また、有限責任という仕組みがあることにより、人びとは安心して株式会社に事業資金を託すことができるのです。

  • 株主
    株式会社の出資者のことを株主と言います。単に、株式を保有している者というように理解しても差し支えないでしょう。

    なお、法律上は株主(出資者)のことを「社員」という言葉で表しますが、これは、社団の一員という意味で社員という言葉が使われているのであり、会社と雇用契約関係にある従業員を社員という意味とは異なります。

  • 資本金
    ざっくり言ってしまうと、資本金は株主が出資した金額のことでです。もう少し厳密に言うと、株主が出資した金額のうち資本金とすることと決められた額になります。

    気になるようであれば、wikipediaとかで調べてみるといいでしょう。

  • 議決権
    議決権とは、株主が株主総会において議案等に対して賛否の意思を表示し、会社の意思決定に関与する権利のことをいいます。

    株主の権利は、自益権(会社から経済的利益をうける権利)と共益権(会社の経営に参加する権利)に分類されますが、議決権は共益権の一つです。

    ちなみに、自益権とは剰余金の配当をうける権利、残余財産の分配を受ける権利のことをいいます。

  • 複式簿記
    複式簿記とは、企業の経済活動について記録、集計、報告するための記帳技術のひとつです。その特徴は、取引を借方と貸方という2つの要素に分解して記帳すること、貨幣額で記帳することにあります。

    借方、貸方というのは複式簿記や企業会計の独特の用語ですが、「借方は左側、貸方は右側」とだけ覚えれば十分です。それ以上の意味は考えないのがコツです。

  • VC(ベンチャーキャピタル)
    ベンチャーキャピタルとは、主にベンチャービジネスを行う未上場企業に対して、資金提供や経営支援を行う投資育成会社のことを言います。事業を立ち上げようとしている経営者が、その事業に必要な資金を自分だけでは準備できないときは、VCなどの投資家を探してきて、投資してもらいます。

会計処理

さて、キーワードについて概要を把握したところで、歌の中にでてきた取引についての会計処理を少しだけ見てみましょう。

自己資金による出資は1,000万円でした。これを複式簿記で記帳すると次のようになります

(借方)現金預金 1,000万円 (貸方)資本金 1,000万円


また、VCによる出資金も1,000万円でした。これも同様に記帳します。

(借方)現金預金 1,000万円 (貸方)資本金 1,000万円


そして銀行からの借入金は500万円でした。これは次のように記帳します。

(借方)現金預金 500万円 (貸方)借入金 500万円


ここまでの3つの取引を集計すると、下記の表のようになります。左側は左側だけ、右側は右側だけで足し算をしたわけです。この表のことを、貸借対照表とかバランスシートと呼びます。表の左側には会社が保有している資産が載っています。この例では、現金預金2,500万円のみです。そして表の右側には、その資産の調達方法が載っています。銀行からの借入金500万円と、株主が出資した資本金2,000万円です。

複式簿記で取引を集計すると、貸借対照表(BS)だけではなく、損益計算書(PL)と呼ばれる表もできるのですが、それについては次回以降で触れます。

現金預金 2,500万円 借入金 500万円
資本金 2,000万円

以上、歌で覚える企業会計(初心者のための会計入門)の第一弾「会社の設立」でした。第2弾の公表までにはしばらく時間がかかりそうなので、気長にお待ちください。

 私どもMBCSでは、今後、音楽やイラスト等を利用した、初心者のための会計入門を連載してゆきます。

 私どもは、「あなたのそばに会計を」という理念を掲げ、会計リテラシー向上を通じた、人びとのエンパワーメントを目指しています。会計や簿記がわからなくても、日常生活で困ることはほとんどないでしょう。ビジネスシーンにおいてさえ、会計や簿記が必要とされる場面は限定的かもしれません。

 しかし一方で、会計はビジネスの共通言語の中でも最も主要なものの一つであり、基礎的なものであり、そして応用範囲の広いものであるということも事実です。そのような共通言語を身につけることにより、個人あるは組織としてのビジネス能力が向上すれば、個人個人の人生がより豊かで充実したものになること、組織目的達成への道のりがより明確に見えてくることでしょう。多くの人に会計や簿記の世界に慣れ親しんでもらいやすいように、音楽やイラストを使ったコンテンツは有用ではないかと考えています。

 と、まあ、小難しい言い回しで書きましたが、ニコニコ動画やそこにアップされている初音ミクの曲を見ていて、「おもしろそうなので、自分達でもやってみたい」という思いつきからスタートしました。企画自体は、1年と少し前から考えていましたが、クリエイティブな才能が全く無い僕らには、何も創ることも、生み出すこともできず、ただ無為に数ヶ月もの時間が過ぎて行くばかりでした。

 そんな中、ふとした縁で知り合うことになったhg氏に協力してもらえることになり、作曲、編曲から初音ミクの打ち込み、伴奏のミックスダウンまで丸投げ状態で引き受けてもらいました。そして順調に制作が進み、昨年(08年)秋の段階では既に3曲が完成していました。

 せっかく完成した3曲ですが、結局、お蔵入りとすることに決定しました。僕らMBCSは昨年(08年)11月に名称変更を行い、運営方針等についても色々と見直しを行いました。その中で、既に完成していた3曲についても、その詞の内容等をよくよく検討した結果、本来の目的とは方向がずれていると判断し、ゼロベースで改めて作り直すことにしました。せっかくの作品のお蔵入りと新作への協力を了承してくれたhg氏に対しては、感謝の念に絶えません。

 こうして、順調に新曲が出来上がりつつある中、今度はイラストをどうするかという問題が浮上してきました。というよりも、はじめから何とかしなくてはならないと思いつつ、手をつけずにいた問題だったのですが、時間的に切羽詰って直視せざるを得ない課題となっていました。

 シガさんの協力をいただけることになったのが、12月も中旬、もうすぐ冬休みという時期でした。当然ですがすぐに作業にはいれるほど暇なわけはなく、年明けから制作にはいってもらえるとのことでした。そんな中、「1月末までにオリジナルキャラクター3体の考案と、それらを使ったシーン画2枚、カラーで!」というこちらの無茶な注文にも、嫌な顔ひとつせず(いや少なくともメールの文面上は・・・。)、オンスケジュールでしっかりと仕上げていただきました。

 というわけで、なんとか1曲目の公開にこぎつけました。今回、ご協力いただいたhg様、シガ様にはあらためて御礼申し上げます。曲やイラストの出来の良さに比べると、詞のgdgdな感じが情けないばかりですが、2曲目はもう少しまともな詞にしたいと思います。2曲目の公開ですが、今のところ全く目途が立っていません。もし、当ブログのコンテンツを気に入ってくれる方がいましたら、RSSリーダーに登録して気長に待っていてください。

 今後連載していくコンテンツや記事について、率直な感想やご意見、アドバイスなど、ご指導、ご鞭撻いただけましたら幸いです。また、音楽やイラスト、アニメーション、動画編集などクリエイティブな分野でご協力いただける方がいましたら、是非、ご連絡いただければ幸いです。それでは、今後とも私どもMBCSをよろしくお願い申し上げます。

パートナー一同


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