鶴野礼子著『元気な商店街・7つの秘訣―商売繁盛の街づくりにはコツがある!
』(全国信用金庫協会監修・ダイヤモンド社)の3つ目の秘訣"空き店舗を埋める"を読む。
全国各地の商店街で、空き店舗問題が深刻化しており、商店街振興組合等が積極的な空き店舗対策に取り組んでいることはよく耳にする。
その対策の筆頭として、本書によると、開業希望者を支援するために各地で盛んに行われている「チャレンジショップ事業」があるという。
〜株式会社はこだてティーエムオー(北海道函館市)〜
JR函館駅前を中心とする大門地区の再生を目指して、2000年9月、第三セクターのTMO(タウンマネジメント機関)「株式会社はこだてティーエムオー」が発足し、地域で深刻化する空き店舗問題を解決するために、翌年チャレンジショップ事業を開始したとある。
その事業とは下記のようだ。「新規開業希望者を集めてミニ実験店舗に仮出店してもらい、そこで足がかりをつかんだチャレンジャーが商店街の空き店舗に本出店する。」というもの。
(株)はこだてティーエムオーが、"地域の永続的な活性化を図るためには、新規商業者を育成し、参入を支援することが不可欠"と①チャレンジショップ事業の拠点となる「大門屋」を開設し、②新規参入者を対象とした勉強会「チャレンジショップ創業塾」の実施(月1〜2回)することで将来の商業者を育成したという。
その結果、二年間で7店が本出店を果たし、真新しいお店に興味を示すお客が往来するようになり、街の活性化に貢献しているとある。
〜有限会社PMO(青森県青森市)〜
本書によると、地元の商店主らが設立した有限会社PMOは、2000年9月、青森市の中心商業地「青森市新町商店街」に、実験店舗を集めた「パサージュ広場」をオープンしたとある。
新町商店街の課題はぽっかりあいた空き店舗である。
我々の商店街には、賃貸の空き店舗はほとんどありません。今問題になっているのは、バブル期に大手企業が取得した土地や建物で、これらが長い間、売り地、売り店舗として残っているのです。
「パサージュ広場」のコンセプトは、格安の賃料で開業希望者に店舗を貸出し、一定の実験期間を経て、同商店街の空き店舗に本格出店してもらうというもの。「新規参入の商店を育てられるのは、商人にほかならない」という考えに基づき、PMOは広場の管理、運営はもとより、各実験店舗を軌道にのせるための支援を行っているとある。
これが実り、若者を主体とする商店が本格出店し、商店街の活性化に貢献しているという。
著者は「開業希望者には出店のチャンスをくれる聖地であり、市民にとっては買物や食事を楽しめる憩いの場となっている。」と指摘している。
私は10年以上、ボランティアとして青森市の街づくりに参加してきました。行政と手を組むのは一朝一夕では無理です。どういう街が必要であるか、どういう街や商業地をつくりたいのか、何度も話し合い、理解してもらわなければなりません。そして何より、私たちの商店街が街に必要であることを訴えていかなくてはいけません。行政は必要なものには必ず支援してくれるはずです。
〜名古屋長者町織物恊働組合(名古屋市中区)〜
本書によると、名古屋市中区の繊維問屋街「長者町繊維街」では、倒産や廃業で空きビルが増え、ビルの所有者にかわり、地元の有志たちが入居者を集める「空きビル再生事業」を始動したという。
空きビルの状況に危機感を抱いた組合が、99年に街の活性化に取組み、翌2000年が組合創立50周年にあたり、記念イベントにより街のPRと集客をと、組合の若手経営者でつくる「青長会」がイベントをしきることになったという。
「たちの力で街を元気にしたい。それを本気でやるならプロなアドバイスが必要」ということで,マーケティング・コンサルタントの石黒靖敏氏に依頼し、通りは歩くこともできないくらのお客がやってき、2日間6万人にものぼったという。
石黒さんのコメントが引用されている。
組合の全員が素晴らしい"成功体験"を共有し、街の活性化へのイメージをしっかり持つことができました。この経験が自信回復と今後の努力精進につながったことは間違いありません
2001年からは線以外の特性を活かし「ファッションの街」を目指して、重要課題である空きビルの再生に取組み、①出店希望者の募集②格安な賃料の実現により、テナントが見つかったという。ビルの主なお客は20代のOLで、各店舗の売上げも順調に推移し、第1号ビルは成功したとある。
その後、有限会社長者街づくりカンパニーを立ち上げ、空きビル再生事業の第二弾となる「長者町えびすビル・パート2」に取り組んでいると紹介されている。
〜沖縄市TMO(沖縄県沖縄市)〜
本書によると、沖縄市の街づくり機関である「沖縄市TMO」は、映画のストーリーにヒントを得て、大々的な空き店舗事業「沖縄移住計画 ドリームショップグランプリ」を企画したとある。
「沖縄に移住して企業してみませんか?」というフレーズで、夢のある企業プランを全国から応募し、優秀な人材を発掘し、商店街の空き店舗への出店を支援しているこころみである。
店舗の家賃だけでなく、移住先の家賃も一年間保証するという事業であり、沖縄への移住を支援することで、魅力的で目新しい店舗の呼び込みに成功しているとある。
現在ではこのグランプリは終了しているようだ。
〜鹿角市花輪大町商店街(秋田県鹿角市)〜
本書によると、秋田県鹿角市の「鹿角市花輪大町商店街」(愛称ハミングロード)では、商店街振興組合と商店経営者たちが共同出資して大型の空き店舗を買収し、カラオケ店と飲食店として再生させたとある。
後、飲食店は失敗したそうだが、カラオケ店は順調のようだ。
著者は、当該商店街の試みを次のようにコメントされている。
鹿角など地方都市だけでなく、今は大都市の商店街も苦戦している。しかし、巻き返すか、あるいはそのまま没落していくかは、商店主たちの意欲と結束にかかっている。それだけに、花輪大町商店街の自助努力、果敢な試行錯誤、失敗を糧としていく粘りや前向きさに学ぶ点は多い。
〜NPO法人・天神天満町街トラスト(大阪市北区)〜
「昔と違って商店街にとってモノを売るという機能は薄くなっています。これからは"街守り"の役割が重要になってきます。」と、商店街振興組合という組織では、参加者が商業者に限定されてしまうことから、地域住民も参加できる形での街づくりを目指す組織を創る必要から、「NPO法人・天神天満町街トラスト」が誕生したという。
そこでは、商店街の店舗構成についても議論を重ね、大資本のチェーン店ではなく、地元を愛する個人経営者を積極的に誘致する努力の必要性に達したとある。
"街守り"としての、街をつくっていくという姿勢がうかがえる。著者がコメントしているように、街づくりを通じて、商人のこころを次世代に伝承しているのかもしれない。
投稿記事『天神橋筋商店街を歩く』を参照ください。
最近のコメント
⇒SS
⇒ゆうじ
⇒SS
⇒ヴォーリズ展学生スタッフ
⇒SS
⇒BI Lover
⇒SS
⇒BI Lover
⇒SS
⇒とみやん