鶴野礼子著『元気な商店街・7つの秘訣―商売繁盛の街づくりにはコツがある!
』(ダイヤモンド社)の5つ目の秘訣"高齢者を呼び込む"を読む。
本書には、「地域活動を求め、コミュニケーションを好むシニアは、地元の商店街に深い愛着を持っており、そこで頻繁に買物をする傾向がはっきり表れている」とあり、いくつかの商店街では高齢者のニーズを意識しての取り込みが紹介されている。
〜巣鴨地蔵通り商店街(東京都豊島区)〜
高齢者サービスの先駆けとして、高齢者のニーズを取り込むことに成功している巣鴨地蔵通り商店街が紹介されている。
本書には巣鴨地蔵通り商店街の特徴をあげている。
①人の流れがゆっくりであること
②来街者の滞留時間は平均2時間と長い
③通りは雑然としていながら清潔である
④気取りのない下町の雰囲気
⑤馴染みの店員が笑顔で迎えてくれる
⑥休憩用の椅子を用意したり。トイレを貸してくれる
⑦漢字とひらがなのみ
⑧大きな文字ではっきりと書かれている
⑨値札は腰からくるぶしまで高さにある
⑩商品の価格は安く、気軽に購入できる
⑪高齢者に喜ばれる商品が多い
⑫娯楽施設も充実
⑬一人で来店しても友だちをつくることができる
中高年や高齢者の居場所を創ることに成功しているようだ。
投稿記事『『とげぬき地蔵商店街の経済学』を読む』、『巣鴨地蔵通り商店街を歩く』を参照ください。
〜向島橘銀座商店街(東京都墨田区)〜
本書によると向島橘銀座商店街は60歳以上の顧客に「シルバーカード」を発行し、高齢者優遇サービスを提供し、高齢者に喜ばれているとある。
当該商店街では、1km以内に在住する60歳以上の人口比率の高まりと商店街で買物をする顧客が高齢者であることから、高齢者に絞ったサービス展開を企画したとある。
シルバーカードを通じて、地域の高齢者同士の交流もさかんになり、カードがセーフティーカードとしての役割も担うことになり、商店街が地域コミュニティーに欠かすことの出来ない場をして存在するようになったようだ。
〜青森市中心部七商店街(青森県青森市)〜
本書によると、青森市の中心商店街は、「福祉対応型商店街」を提唱し、高齢者対策を意識した、①タウンモビリティ事業と②共同宅配サービス事業を実施しているという。
地域の商店主などで結成された「青森市中心商店街懇話会あきんど隊」を中心に、今後商店街の客層の高齢化が予想されることから、「福祉対応型商店街」への転換に取り組んだとある。
①タウンモビリティ事業とは、高齢者や身体障害者などが商店街の中をスムーズに移動できるように支援する事業とある。
具体的には、電動シニアカーや車いすの無料貸出しを実施しているという。
②宅配サービス事業は当日宅配と7商店街が共同で実施しているところに特徴があるようだ。
著者は、「青森市の中心商店街は、福祉という切り口で高齢者や障害者などすべての人にやさしい商店街を目指している」とコメントされている。
〜健軍商店街(熊本県熊本市)〜
本書によると、健軍商店街では、ユニバーサル(すべての人のため)な街づくりを目指して「いきいきショッピング推進事業」を実施し、人にやさしいサービスに取り組んでいるとある。
当該商店街も「地域の特性を考えれば、高齢者にやさしい商店街を目指すことが生き残りにつながります」と商店街振興組合理事長のコメントが引用され、いくつかの取組みが紹介されている。
①「らくらくお買物システム」
買物サポーターとして、高齢者や障害者の買物を手伝うボランティアが常駐し、商品探しや荷物の運搬などに手を貸してあげるというシステム。
②「宅配サービス」
宅配サービスは物だけでなく、利用者も一緒にタクシーで自宅へまで運んでくれるというシステムであり、肥後タクシーという地元の協力会社があって、成功したシステムと紹介されている。
③電動シニアカーやクルマ型のショッピングカードの無料貸出し
④商品構成の見直し
「ユニバーサル・デザイン」の試み
等、ハートで攻める"ユニショップの街づくりを目指して取り組み続けているとある。
〜下高井戸商店街(東京都世田谷区)〜
本書によると、下高井戸商店街では、「Motto(もっと)しもたか宅配便」として、共同宅配サービスを実施しているとある。
「Mottoしもとか宅配便」はお客から電話あるいはFaxで注文を受け、商品を届けるというシステムであり、青森市中心商店街や熊本市の健軍商店街のお客がお店で購入した商品を自宅に届けるという宅配システムとは異なっている。
下高井戸商店街の宅配サービスは少し遠方に住んでいる人の潜在需要を掘り起こすことで取り組んだ事業であると紹介されている。
地域に宅配を切望するニーズがあることはわかったが、商品ラインナップの制約から利用件数の頭打ちに直面しているという。また、採算面においても、補助金でカバーしているが、補助金がなくなれば、事業中止の可能性もあるという。
商店街では採算ベースに載せることを課題としているようだ。下高井戸商店街のHPを見るとMottoしもたか宅配便は現在もサービスを提供しているようだ。採算ベースにのったのだろうか。
〜西新道錦会商店街(京都市中京区)〜
下高井戸商店街の共同宅配は業務プロセスの整備が課題であったが、西新道錦会商店街においては、96年にファックスによる受注システムを立ち上げ、2001年にはインターネットによる受注システムを構築し、ICカードによる即時決済を可能にしたとある。
当該受注システムを利用するのは高齢者を中心とする顧客であるため、ユーザフレンドリーにTVを利用したインターネット環境を構築し、高齢者に使い勝手のいい注文システムを構築している。また、仕組外にも臨機応変に対応するところから、顧客の信頼を勝ち得て、当該受注システムの利用者は増えているとある。
採算面でもプラスになっているようで、西新道錦会商店街ではインターネットによる受注システムと共同宅配サービスにより商店街を活性化することに成功しているようだ。
投稿記事『西新道錦会商店街を歩く』を参照ください。
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