『旬刊 商事法務』(2010/5/25)の記事「親子上場をめぐる議論に対する問題提起〔中〕-法と経済学の観点から」を読む。
〔中〕では三 親子上場のベネフィットとコスト及び四 親子上場の日米比較について言及されている。
三 親子上場のベネフィットとコストでは、ベネフィットとして、①オートノミーと二重のモニタリング②親子間のシナジー③資金調達があげられ、一方コストとしては利益相反問題が取り上げられている。
この親子上場はわが国の特有実務と認識されているきらいがあるが、記事ではアメリカにも存在していることとその形態が異なることが指摘されている。
親会社が、子会社の株式の一部を新規公開(IPO)して上場会社化することをエクイティ・カーブアウトと呼び、これはまさに親子上場であるが、わが国の親子上場が長期を前提とした安定的状態であるのに対して、アメリカのエクイティ・カーブアウトは短期を前提にした過渡的なものである点が異なっている。
記事では日米のこの相違は、1.法制度的要因、2.上場メリット要因、3.産業構造的要因、4.労働市場的要因、5.租税法的要因から分析されており、日本の親子上場の意義が浮き彫りになって興味深い。
「親子上場をめぐる議論に対する問題提起〔下〕-法と経済学の観点から」(商事法務2010/6/5)では上場子会社の実証分析が行われており、わが国の親子上場の実務にはなんらかの経済合理性があったことを推定しうるとして、いくつかの規制等を用意し親子上場の実務の存続を提案されている。
われわれが行った実証研究の結果は、親子上場のコスト・ベネフィットは相殺されており、むしろベネフィットが上回っていることを示している。一般の上場企業に比して、少数株主が搾取されていることを示す証拠も検出されなかった。(略)実証研究の結果を考慮すれば、現状において、親子上場の実務を止めてしまうような過度な規制は行うべきではない。しかし、最近における、伝統的企業による上場子会社の完全子会社化の進展および新興企業による上場子会社保有の増加を考慮すると、証券市場のグローバル化に対応するため、透明性を高めるための規制は必要であろう。他の利益相反関係に対する法規制との整合性も考慮し、事前の手続規制および開示規制と、事後の審査制度の導入を検討すべきである。
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